月夜の旅人

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「死を望む私をあなたたちは生かした…

――それがあなたたちの罪…」

『…』


じっと見つめてくるロビンの言葉にレイは眉間にしわを寄せる。



「私には行く当ても帰る場所もないの


―だからこの船において」

『…ルフィ、どうするかはお前が決めろ。』


「では、あなたは良いのね?」


『…ルフィ』

ロビンの問いには答えず、ルフィに視線を向けるレイ…


「ん〜〜〜レイ、お前が決めろ!

こいつはおれよりもお前に聞いてんだろ?」


『…』


レイはルフィの言葉を聞き、ロビンに再び視線を向ける


「…」


ロビンはレイの目を真っ直ぐに見つめる


『…一つ条件がある』


「条件……?」


『…生きることを考えろ。

死ぬことを考える奴はこの船にはいらないからな』


「「「!!!」」」


『…それが守れるなら、好きにすればいい』


レイはそれだけ言うとロビンに背を向け、船頭の方へ歩いていった


「…」


ロビンはレイの美しい靡く銀髪を無言で見つめた


「ちょっと!レイっ!!どういうつもりよ!!?


ルフィ!!あんたもレイに何とか言いなさいよ!!!」


ナミはレイに向かって怒鳴り次にルフィに訴える


「心配すんなって!!

こいつは悪い奴じゃねぇから!!

レイだってわかってるよ!」


ルフィはいつものように無邪気に笑う


『…』


そんなルフィを横目で見たあと、静かに瞼をとじ…海の風にあたるレイだった








「8歳で考古学者そして賞金首に…」


「考古学者!?」


「――そういう家系なの
その後20年ずっと政府から姿を隠して生きてきた」


ウソップはロビンと向かい合わせに椅子に座り、素性を聞き出していた


「子供が一人で海に出て生きて行けるわけもなく…

色んな悪党に付き従う事で身を守ったわ

お陰で裏で動くのは得意よ?お役に立てるはず」


「ほほう 自信満々だな… 何が得意だ?」





「暗殺」


ガタンッ!!!


「ルフィ!レイっ! 取り調べの結果 危険すぎる女だと判明!!!」


泣きながらルフィとレイに叫ぶウソップをロビンは笑う


「聞いてんのか おめぇら!!!」


ウソップが訴えるものの、ルフィとチョッパーは生えてきた手でゲラゲラと笑い

『…』


レイは優雅に難しそうな本を無言で読み、ウソップの言葉など聞いてもいない…


だが…


「軽くあしらわれちゃって情けない


――どうかしてるわ!!
今の今まで犯罪会社の副社長やってたその女はクロコダイルのパートナーよ!!?


レイをどうやって丸め込んだか知らないけど…

ルフィの目はごまかせても私は騙されない

…妙なマネしたら私がたたき出すからね!!」


「フフ…えぇ肝に銘じておくわ


そういえばクロコダイルの宝石少し持ってきちゃった」


「いやん大好きよ お姉様っ」


『…』


「「おいおいおい」」

一瞬にして態度を変えたナミにレイは呆れ、ウソップとゾロがつっこむ


「ナミがやられた!!」


「悪の手口だ」


「あぁ恋よ

漂う恋よ僕はただ漆黒にこげた体をその流れに横たえる流木…」


サンジがおやつのケーキと紅茶を両手で持ち独特な踊りでロビンに近づく


「雷という名のあなたの美貌に打たれ激流へとくずれ落ちる僕は流木……


おやつです」


「まぁありがとう」


「あれは当然あぁだしな」


「あぁ あれはもう最初からナシの方向で」


サンジが女に目がないのはいつものことで、こうなることはわかりきっていた


「お――いレイ!」

『…なんだ』


「お前のもここに置いとくからな!食えよ

お前のだけ甘さ控え目だから安心しろ」


『…あぁ。すまないな』


レイは本を閉じロビンの向かい側にある椅子に座る


「甘い物苦手なの?」


『…あぁ』





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