月夜の旅人

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「なんでサンジくんが知ってんの?」


『…こいつの生まれは“北の海”だ』


「あぁ そうだ レイ以外にゃ言った事なかったか?」


「初耳だな お前も“東”だと思ってたよ


あれ?そういや レイの生まれはどこなんだ?」

『…“偉大なる航路”だ』


「え!?じゃあもしかしたらレイの故郷の島にも行けるかもしれないな!」


『…さぁ それはどうだろうな』



少し間があき、静かに答えたレイはどこか先程と雰囲気が違うようだった

「レイ……?」

「「…」」


戸惑うチョッパーに他の面々は言葉を発することは出来なかった




『…まぁ育ちはどうでもいい


それよりこの童話は“北”では有名な話だと聞くが?』


「あぁ…童話とは言ってもこのノーランドって奴は昔実在したって話を聞いた事がある」



…………………


………


【 むかしむかしのものがたり


北の海のある国に

モンブラン・ノーランドという男がいました


たんけんかのノーランドの話はいつもウソのような大ぼうけんの話


だけど村の人達にはそれがホントかウソかわかりませんでした


あるとき ノーランドは旅から帰って

王様にほうこくをしました


「私は偉大なる海のある島で山のような黄金をみました」


ゆうきある王様はそれをたしかめるため

2000人の兵士をつれて
偉大なる海へと船をだしました


大きな嵐やかいじゅう達との戦いをのりこえて


その島にやっとたどりついたのは

王様とノーランドとそしてたった100人の兵士達


しかしそこで王様達が見たものは何もないジャングル

ノーランドはうそつきの罪でついに死刑となりました

ノーランドのさいごの言葉はこうです


「そうだ!山のような黄金は海にしずんだんだ!!!」


王様たちはあきれてしまいました


もう誰もノーランドをしんじたりはしません


ノーランドは死ぬときまでウソをつくことをやめなかったのです――…】



………………


「あわれ うそつきは


死んでしまいました…

“勇敢なる海の戦士”になれもせずに……」


そう言ってため息をつきながらウソップを見るナミ…

「おれを見んなぁ!!!
切ない文章勝手にたすなぁ!!!」


ウソップが怒鳴ったときだ………


「ぎゃああああ〜〜〜〜っ!!!」


ザブーン!!!


「え!?ルフィが海に落ちた!!」


「何やってんだ!!?お前!!!」


『…!…待てウソップ』


「は!?ちょレイ!?」


ルフィの元へ行こうとしたウソップを手で制すレイにウソップは訳がわからないと言うように驚く


だがその時


「てめぇら誰だ!!!」


ザバッ!!


「「「!!!」」」


「人の家で勝手におくつろぎとは いい度胸


ここらの海はおれのナワバリだ」


頭にくりをのせた男が海から上がってきた


―海賊 《猿山連合軍》―
最終園長

モンブラン・クリケット



「おい ウソップ ルフィを拾っとけ!!」


駆け寄ってきたサンジがウソップに向かって言う


「狙いは“金”だな


死ぬがいい」


クリケットがサンジに蹴りを仕掛ける


尋常ではないスピードで回し蹴りなどを繰り出すクリケットにサンジはなんとか避け防ぐが…


蹴りだけでなく、銃まで出てきて苦戦する


レイは始めその様子を見つめるのみだったが…




「サンジ〜〜〜!!!」


「バカが ナメてかかるからだ……」


反撃する隙がないサンジにゾロが見かねて向かおうと走り出したときだ


ザッ!!!


「!?レイっ?」

『……おれが行く』

ゾロの行動を制止し一言そう告げた瞬間、レイの身体がフッと消え…


バッ…っ!!!

「……!!?」

「「「!!!?」」」

クリケットの真横に現れ、彼の視界を隠すようにふわりと瞼を右の掌で覆う。

そして、視界を真っ暗に染められた本人の意識が薄れぐらりと身体の力が抜け崩れおちた。


ドサッ

『……』

その身体を、難なく受け止め支えたレイはそのまま負担が掛からないように抱えあげた。

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