月夜の旅人

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「8年前のあの日からあの子は人に涙を見せることをやめ

決して人に助けを求めなくなった……!!


あたし達の母親のようにアーロンに殺される犠牲者をもう見たくないから……



わずか10歳だったナミがあの絶望から一人で戦い生き抜く決断を下すことが


どれほど辛い選択だったかわかる?」


『…』


「村を救える唯一の取り引きのために あいつは親を殺した張本人の一味に身をおいてる訳か…」


「あぁ愛しきナミさんを苦しめる奴ぁ!このおれがブッ殺してやるぁ!!!」



ノジコから詳しい過去の話を聞いたサンジとウソップ、レイがそれぞれ反応を示す


サンジが怒りそういったときだ


ゴン!!!



「な……なにをおね―さま…!?」


「それをやめろとあたしは言いに来たんだよ!


あんた達がナミの仲間だとここで騒ぐことでナミは海賊達に疑われこの8年の戦いが無駄になる


だからこれ以上…
あの子を苦しませないでほしいの!!」


『………(苦しませないで…か)』


ノジコの言葉を聞きながらレイは僅かに眉をひそめた


これから起こる最悪なアーロンの罠を予想して……






……………………………


…………………



「(長かったけど…一億ベリーまで残り7百万ベリー


今の私ならあと一回航海すれば必ず手に入れられるはず!!)


あとたった一回の航海ですべてが還ってくる……!!


全て報われる……!!!」


アーロンから解放されるんだ……
ベルメールさん そしたら私やっと……心の底から笑えそうな気がするよ……!!」



ナミが微笑むなか……









『……おい』


「どうした?レイ?」


レイはノジコが去ったあと、ウソップとサンジに声をかけた





『……恐らく…アーロンはナミの一億を手にいれたところで解放する気は一切ない』


「「!!!?」」


「ちょっ!ちょっと待てよ!!何でそうなるんだよ!?」


『………あれほどの極悪人がナミのような優秀な女をそんな簡単に手放すと思うか…?』


「それは……!」


最もな考えにウソップとサンジは何も言うことが出来なかった


『…』


レイはそんな2人を見ず、静かにココヤシ村へと視線を向けた





……彼の頬を撫でる風はどこか冷たいものだった……






…………………


……………


カラカラカラ…

―同時刻―


その風によって風車は涼しげな音を奏でる



持ち主であるゲンゾウの後ろには海軍がついて歩く



「海軍がナミに何の用で?」


「チチチ…君はただ案内をすればいい」


海軍を引き連れたゲンゾウ達の横をルフィは通りかかり、風車に視線を向けた


「……なんであのおっさん頭に風車さしてんだ!!!」


海軍よりも風車に目がいくルフィはやはりどこか変わっている


「いいな―すげぇかっこいい

レイに帽子に付けていいか聞いてみっかなぁ〜」


一人言でそう言うルフィの側にレイがいれば即座に却下されるのは間違いないが、そんなことは予想出来ないルフィだった





…………


……


「いくかっ!もうひと盗み!!」


そう意気込み、家から出たナミだったが…


ゾロゾロとゲンゾウと海軍達がこちらに向かって来ていた


「(ゲンさん…?それに海軍…)」


「チチチチ…私は海軍第16支部大佐ネズミだ


君かね ナミという犯罪者は」


「…犯罪者……そうね海賊だから大犯罪者よ


ただし私はアーロン一味の幹部


大佐程ともなればよくわかると思うけど私に手を出せばアーロンが黙っちゃいないわよ


それでも何か用?」



ナミは不敵に笑い逆にネズミを脅すが……


「チチチチ…何を言ってるのか よくわからんな
……海賊?


そんな情報は私の所に届いていない


君には手を出さんよ!
ただ君が…“泥棒”であるという知らせを受けてね」

「!?」


「罪人から盗んだ物ならば当然その盗品はすべて我々政府が預かり受ける」


「!!?何ですって……!!?」


ネズミのその言葉にナミは一瞬で顔色を変える


「今まで貴様が盗み貯えた金を全て我々に提出しろと言ったんだ!!!」




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