三三六拍子
□12.5
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この話は、カッパのバイトの最終日の午前中に、俺(祀)が街中を探索していたときの話だ。
俺はチビと飲む酒を買い、武器屋を見てから、街を探索しながら天空達がいるであろう中華料理店に向かっている。
子「やだ!」
母「でもしょうがないでしょ」
子「やだぁ」
広場付近を歩いていると、一組の親子が木の下で揉めていた。
その木には風船が引っ掛かっていた。
母「諦めなさい!」
子「ふーせん(泣)」
子供はとうとう泣き出してしまった。
母親が子供の手を引いて帰ろうとしている。
祀「…………っ!!」
子母「!!」
俺はジャンプして木を登っていき、風船を捕った。
子「わあ!おにいちゃんすごい!!」
祀「ほら」
俺は風船を子供に渡し、また中華料理店を目指した。
母「あの!」
母親に呼び止められた。
俺はとりあえずもう一度親子のほうに首だけを向けた。
祀「なんだ」
母「なにかお礼を」
祀「いい」
母「けど」
祀「いい」
母「……、本当にありがとうございました。ほら、お兄ちゃんにありがとうは?」
子「おにいちゃん!」
子供だけが俺のほうへ小走りで寄ってきた。
子「ふーせんとってくれて、ありがとう!これあげる!」
小さい手の中から出てきたのはあめ玉だった。
祀「……ふっ、ありがとうな」
今度はちゃんと子供のほうへ体を向け、同じ目線になるようにしゃがみ、その小さなあめ玉を貰った。
そして、親子と別れた俺は商店街を歩いていた。
記者「号外!号外です!」
すると、すぐ前で号外を配っている男がいた。
こっちに飛んできた一枚の号外を手にとってみると、『魔王を倒せるのはこの人達しかいない!美女3人組あらわる!』という見出しと三人の女が写っていた。
とりあえず、天空に報告だな。
俺は号外を片手に中華料理店のドアを開けた。
(子供に貰ったあめは)
(甘いいちご味だった)
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