NOVEL1

□それは一つの愛し方
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あつい

あつい


あたまが

くらくらする



「ふにゅぅぅ」



がちゃ


「寝てろ、ちび」

「にゅっユウ」


むくり起き上がった体をベッドに押し戻される



今まで病気知らずのにゃんだ

初めての風邪に戸惑う



「けほっふにゅ…けほっけほっ」


「おいちび、お前食えるか?」

「にゃっ?なに?」


神田の手には温かいお粥


「食わねぇと治らねぇぞ」

「にゃぅ」


あまり食欲はないが朝から何も食べていない


しぶしぶ口に運ぶ


「あつっ!あつぃ」


猫舌には少々熱すぎる粥


「貸せ」


神田はスプーンにのせた粥を息でさまして口に運んでやる


ふう


ふう


「ほら」

「あっ…んむ……むぐむぐ」


ふわふわ卵のあったかお粥

にゃんだの体に染み渡る



ふう

ふう


ぱくっ


「むぐむぐ……おいし」


「そうか、全部食えよ」

「んっ」


ぱく

ぱく


「んっむぐ…んく。あとはじぶんでたべれる」

「いいからだまってくちあけろ、ほら」

「にゅぅ//あむっ」


あまりに優しい神田に歯痒くなる



「ごちそさま」

「ん。なんかほしいものあるか?」


ふるふる


「ない………あ、ユウ」

「なんだ」

「その…あれん…まだ、かな」

「……あいつはまだ任務だ」

「そっか」


うなだれる耳に淋しさが現れる


「大人しく寝てろ。治んねぇぞ」

「うん」



がちゃ




食器を返して一人の廊下



おもむろに取り出したゴーレム


通信の相手はおそらく初めてであろう


『ジジ…はいっ』


驚いた声にいらっとするものの堪える


『神田?珍しいですね、ていうか初めてじゃないですか?』
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