NOVEL1

□記念日
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メリークリスマス!


聖なる記念日に祝福を



今日は父の記念日


今日は祝うべき日




「アレン君も誕生日よね」

「えっ?」





その一言で今日はクリスマスパーティから誕生パーティへ


「おめでとう」


「おめでとう」


たくさんの祝福をもらいいつもの紳士的な笑みに年代らしい子供っぽさがくわわる

単純に嬉しい


今まで祝われるような環境にいたことなどなかったから


煌びやかな空間すべてがアレンを祝福する

親愛なる仲間が皆アレンに祝いをのべる



なんて素晴らしい

なんて幸福



「はぁ楽しかった」

「にゃ…あれんうれしそうだった」

「ええ、最高です」

「そっか」

「………にゃんだ?」


パーティ中はあんなに楽しそうにしていたのに

しゅんとなるにゃんだに近づく



ぽた


ぽた



「え、え?にゃんだ?」


「ふにゅ」


見れば大粒の涙が小さな手に零れ落ちていた


「ちょ…っなんで泣いてるんですか!?」

「ふにゅぅ、ふみぃっう…うぅ」

「にゃんだ?」


ごしごし自分の手で乱暴に拭う


「ひくっあ、あれん。みんなにいわってもらって…うれし、かったの」

「え、ええ」


それがなぜ泣くことになるのかわからない



「…れも、おれもいわってる、のに。ひくっみんなといっしょ…やらっひくっぅう」

「皆と一緒?」

「ふみっみんな…のおめでとうと、いっしょなの…いやだ」


「にゃんだ…」



泣きじゃくるにゃんだをやさしく抱き締める


皆が祝う


にゃんだは自分がその一部としか見られていないのではないかと焦ってしまった


恋人なら特別でありたい


なんて、可愛い独占欲だろう



「ふみっふにゅう…ひくっ」

「にゃんだは皆とは違いますよ。誰よりもにゃんだに祝われるのが一番嬉しい」

「ひくっ…ほんと?」

「えぇ」


にっこり笑えば泣いて赤い瞳がこっちを見る


「じゃあにゃんだ、こうしませんか?今から二人でもう一回誕生会しましょう」

「もういっかい?」

「ええ」

「でも、おなかいっぱい…」

「食物なんてなくてもいいですよ」


キャンドルに火を灯し


ゆらゆら揺れる灯りの中、膝にのせて後ろから抱き締める


「にゃんだ…歌って」

「にゅ?」

「ハッピーバースディの歌、今日覚えたでしょう?」

「でも、おれへたくそだよ」
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