NOVEL1

□まどろみ
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シューシューと高い音をたてながら沸騰を知らせるやかん

暖かいオレンジの光を見つめながらゆるゆる眠りに誘われるのは心地いい

「いいですね、こういうの」

「本当、コムイもたまにはいいもん作るさ」

「ラビ、それ貸せ」

「ほい」

ばさっと柔らかいものが体にかかる

ふわふわで気持ちいい

「ありがとうございます」

「別に礼なんていらねぇよ」

「にゃんだ、すっかり寝ちゃいましたね」

まだ寝てないけど

木霊みたいに柔らかく耳に響く声が心地よくて

大好きな人に囲まれて安心する

もう少し

もう少し眠るのが惜しい


「じゃ、子どもは寝たことだし大人の時間にしちゃう?」

うきうきと話すラビ

「俺はパス」

「あ、ユウなんでさ!俺アレンと二人なんて嫌だからな」

「酷い言い種だな…僕だって嫌ですよ」

「だったらなんでやろうとするんだよ」

「だってなー」

「大人ですから」

「全員未成年だけどな」

「いいじゃないですか、ほら座って」

からんとガラスの音がする

甘い香りと……これは…酒?


「うまいさー生き返る」

「親父かお前は」

「しー、にゃんだ起きますよ」

はっと気がついて小声になるもののグラスが空になるにつれ徐々に声色も明るく大きくなる



「だからー可愛いんですよお」

「知ってる」

「いーえ、迷子になってるにゃんだのあの困った顔も最高に萌えます!」

「なんだSなんさアレン。俺としてはお菓子頬張ってるときとかすげーきゅんとするけどな」

「俺は寝ながら人の腕に吸い付くときだな」


は…恥ずかしい

自分のこととはいえこうも皆にのろけられるといたたまれない


「えー、神田にもするんですか?残念、恋人の特権だと思ってたのに」

「にゃんだってまだ乳恋しいかな。だったらユウのち…」

がんっ

「にゃんだにそんな得体の知れないもの吸わせないでくださいよ」

「んだとこらぁ!」

「そうさ!ユウの乳は意外と柔らかくてうま…ぐはっ」

「死ね変態うさぎ!」


しばらくラビは呻いていた


「他の人にしないか心配です」

「大丈夫だろ。俺らが傍にいれば」

「……そうですね」

こんな風に優しく愛されて

俺は結構幸せ者だ


眠るのは惜しいけど


もう

おやすみ


【END】
 

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