NOVEL1

□泣き虫のくすり
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「うーん、それだろうね。イノセンスの影響もあるのかも、ちょっと検査していい?」

キラン、と眼鏡が光る


「ふぇっやだっ」


うるうるしてアレンに抱きつく神田

哀気促進剤はまだ効いているらしい


「神田、僕も一緒にいますからとりあえず検査しましょう、早く戻らないと」

「う…ぅひくっわか…た」

あまりに普段と違いすぎて別人じゃないかと思う

本来の強がりを除けばこういう人物なのかもしれない


ちょっとときめき直してしまった


泣きながらもなんとか検査を終え、ぎゅっとしがみつく神田



「ひくっふぇっ…うう」

「よしよし」

結局結果はコムイさんの予想どおりで、いつもとに戻るかはわからないそうだ

ちなみに哀気促進剤自体は1日で効力が切れるらしいので明日戻ってないことを祈りたい


冗談抜きに殺される





「ユウだいじょうぶ?」

「ひくっ…ひく」


真っ赤に泣き腫らした神田に心配そうに声をかけるにゃんだ


「にゃぅ…」

ぺたんと耳をふせ、困ったようによしよしと神田の頭を撫でる



しばらくして泣き疲れたのか静かな寝息に変わった


「にゃんだ、そろそろ代わります……って寝てるし」

あやすのを代わりにきたアレンの目に入ったのは幼子の寝顔

「本当にこのままだったら可愛いのに」


アレンの儚い願いは叶わない






翌日


「にゃんだ〜神田ぁ」

朝食を持ってきたアレン


そこにはまだ眠い幼子が二人いる……はずだったのだが


見えたのは美しい黒髪の青年


ずざざざざざざっ


一気に部屋の端まで下がるアレン



「かかかか神田、あの、あのいいいつ!?」

「少し前」

「あ、あ、そ、そうですか、その…」


がばっと頭を下げる


「すいませんでした!まさか小さくなるなんて思ってなかったんです。本当にごめんなさい」


刀が飛んでくるか拳が飛んでくるか

アレンはきつく構えた





………あれ?



「俺は……誰かに抱かれたことなんてなかったんだ//」

「すいません」
.
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