NOVEL2

□にゃんだとこどものひ
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「やねよーりたぁかーいこいのーぼぉりー」

「うるせぇ」

「あ、ユウおはよー」


前日の疲れが残っているのか不機嫌に起きる神田


「ユウもうたお、はいっやねよーり…」

「誰が歌うか!」

「うーにゅぅ」


ぷうっと頬を膨らませるにゃんだ


「お前その歌どこで覚えたんだよ」

「…にゅ…らびがおしえてくれた」

「ふーん」



なんか嫌な予感がする



どどどどど



どどどどど





「ユーウー!」


がすっ

びぃぃん


「ひぃっ!?」



ドアに刺さる六幻



「うるせぇ、刺すぞてめぇ」

「もう刺す気満々さぁっ!?」


頭に兜をかぶったラビが情けなく尻餅をつく

手に持っていた袋を落とし、片手には鯉のついた棒


「なんだそのふざけた格好は」

「だ、だって今日は子どもの日だろ」

「だから?つーかどこで調べやがった」

「どこでってユウ覚えてない?」

「は?」


にゃんだはラビの持ってきたこいのぼりを嬉しそうに振っている


「あ、にゃんだそれは食えねぇからな」

「にゃ、う、たべてない!」


明らかに口に含もうとしていたのを止める




「ユウが教えてくれたんさ」

「俺が?」

「うん、ほらユウが淋しくて…」

急激に蘇る記憶


「言うな!」

「思い出した?」

こくっと頷く

ラビはにっこり


「そっか、じゃあやろっ子どもの日」

「嫌だ」

「……にゃんだにしゃべるよ」

「う………」

「らび!これ何?」

「ん?ユウが教えてくれるさ」


ねっ、と視線を送る


「……ちまきだ」

「ちまきー?こっちは?」

ラビに視線を移す神田

ラビはにやにや


「はぁ、柏餅だ」

「ふーん」

「にゃんだ、うまいからアレンと一緒に食べるさ」

「うん!」


二つずつ持って嬉しそうに走っていくにゃんだ





くすくす


「笑いすぎだぞてめぇ」

「くくっだってユウ可愛すぎ」

「ああ?」

「にゃんだにはとことん甘いんだから」

「うるせぇ//」

「ほら子どもの日、やるさ」

「やらねぇよ」

「えーっちまきは?柏餅は?菖蒲の湯は?」

「やるか!」

「せめて一個だけでも食ってさ」




遠くから聞こえるにゃんだの『こいのぼり』

五月五日の子どもの日


あのころより大きくなった俺たち



でもまだ子どもなんだ




久々に日本の風習に触れた神田はどこか気恥ずかしそうにいつもの不機嫌面で柏餅をかじった


【END】
 

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