NOVEL2

□うさぎに愛される時
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「びっ!」

「今日の今日は許さねぇさエロうさぎ!」


叫びながら走るラビ


「はぁ…馬鹿」

神田は何度目かの溜め息をついた


ぬいぐるみと恋人の追いかけっこも本日三回目になる


今日はラビの誕生日だから昨日からおいしくいただかれていたのだが、いつもの甘い目覚めとは程遠い騒々しい景色が待っていた


「こら!エロうさぎぃ!ユウの髪紐返すさ!」

「びっびぃ!」



朝一で俺の上で寝ていたぬいぐるみ

もとい、うさらび

なぜか好かれているらしくすりすりと寄ってくる

まあ別にぬいぐるみだし、なんかふかふかして気持ちよかったので放っといたらこの有様だ

「ユウは俺のさ!」

その一言から鬼ごっこが始まった

ある意味二回捕まってもめげないこのぬいぐるみの根性もすごいが…

ぬいぐるみにすら嫉妬するこの馬鹿も異常かもしれない



でも、そろそろ朝飯だしな


終わらせるか




「おい、ぬいぐるみ」

「ぴっvV」


がしっ



喜んで抱きつきにきたところを片手にうさ耳を持ちラビを見る


「ユ、ユウ」

「腹減った」

「俺もさ」

「馬鹿みたいに走ってるからだろ」

「ははっごめんさ」

「朝飯食いに行こうぜ」

「うん」

「びっ!びい!」

「あん?」

「今さらもがいても無駄さ、大人しくしてろって」

「びぃい!」


じたばた暴れるぬいぐるみ

神田の手の中にありながら暴れるのは珍しい


「お前が取りに行くって?」

「ぴっ!」

「………へ?」

「びっびぃっ」

「まあ助かるが大丈夫か?」

「ぴいっ!」

「あ、あの…ユウさん」

「じゃあ任せた」

「うさっ!」


しゅた


とてとてとててててて


しーん


「ユウ!あいつの言うこと分かるんさ!?」

「…なんとなく」


脱力するラビ
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