NOVEL2<R>

□似非魔術師の訪問
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煙草の味はあの人の味だった

小さく無力な俺に力を与えてくれたのはあの人だった

苦痛と快楽を教えてくれたのはあの人だった



でも今、幸せをくれてるのは彼だ





「ん……らびっ」

「残念だったな、ここは俺の部屋だ」

「……ん、ん?……」


がばっ


「な、な、元帥!?なんで」

「なんでだと?俺が連れてきたからに決まってるだろ」

「は!?」


訳がわからない

なんで

なんで


「なぜ…今さら」


本当に今さらだ

あんたとの関係はとうに終わってる


「久々にな、上手い酒が入ったから美人が必要になったんだ」

「だったら女をあたればいいだろう!」

「そうはいかねぇんだよ」

「っ…」


赤い髪がゆらめき

強い野獣の瞳がこちらを見据える

この眼はだめだ

躰も、心も、飲み込まれてしまう

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