NOVEL2<R>
□似非魔術師の訪問
1ページ/11ページ
煙草の味はあの人の味だった
小さく無力な俺に力を与えてくれたのはあの人だった
苦痛と快楽を教えてくれたのはあの人だった
でも今、幸せをくれてるのは彼だ
「ん……らびっ」
「残念だったな、ここは俺の部屋だ」
「……ん、ん?……」
がばっ
「な、な、元帥!?なんで」
「なんでだと?俺が連れてきたからに決まってるだろ」
「は!?」
訳がわからない
なんで
なんで
「なぜ…今さら」
本当に今さらだ
あんたとの関係はとうに終わってる
「久々にな、上手い酒が入ったから美人が必要になったんだ」
「だったら女をあたればいいだろう!」
「そうはいかねぇんだよ」
「っ…」
赤い髪がゆらめき
強い野獣の瞳がこちらを見据える
この眼はだめだ
躰も、心も、飲み込まれてしまう
.