NOVEL2<R>

□危険な学園祭
1ページ/8ページ


「お帰りなさいませ、ご主人様」

ぱっと花の咲くような明るい笑顔に

可愛いらしいメイドに

麗しい執事に

思わず頬が緩んでしまう


「今年の学園祭はうちが一番だなラビ」

「おうさ、その為にかなり無理したからな」

にこり笑うのは燕尾服を着こなすラビ


「なんといっても女装、男装当てクイズはいいよな」

「ははっあれ目当ての客もいるからな」

そう、ただのメイド執事喫茶ではうけない

今回はメイド、執事のどちらかに女装もしくは男装している者がいる。というルールをつくり、当てた人に5000円分の図書券をプレゼントするという企画つきなのだ


もちろんそれは



「ユウ、もうちょっと内股にね」

「ああ?」

うちのクラスの美人、神田ユウ


当然男ということは周知なので事前にジャージ登校をさせたり(制服を隠した)
さらしをがっちり巻かせたり
いろんな噂を流した

ということで、ユウは実は女の子で学ランを着ることに抵抗を覚え、剣道部でもばれないようさらしをしている

てことになったのだ



「あの…」

「あ?」

「ユ、ウ」

「…ちっ、ご注文は何ですか?」

かなりぎこちないが鬼の神田からの敬語はかなり貴重

男子生徒も少し赤らんでいる

「コーヒーで」

「かしこまりました」

ぺこり

さすが剣道部

お辞儀は綺麗である



だが疑問に思うだろう

なぜ、あの神田がこんな役を受けたのか


それは一週間前



「頼むさ」

「嫌だ、誰がそんなふざけた格好するか!」

「でもユウしかいないんさ」

「ざけんな、死んでこい」

「どうしてもだめさ?」

「だめだ」

「こんだけ頭下げても?」

「はっんな軽い頭下げられてもな」

「っ…ユウ」


神田もさすがに言い過ぎたかとラビを伺う


「わかったさ…どうしても嫌ならもう別れる」

「な…何言って」

「ユウは俺のことなんてどうでもいいんさ、俺がどんだけ必死になってるかなんて知らないんさ!もういい、ユウは一人でも大丈夫だろ」

「お前…それ、本気か」

「当たり前だろ、ふざけた格好。ああそうだ、これを考えるのも決定して準備したのも俺たちだ。ユウは何もしてない、何もしたくないんだ。ならいい俺との関係もなしにしてくれ」

「ラビ、俺はそんなつもりじゃ…」

「じゃあ…やってくれる?」

「………考えさせてくれ」




こぽこぽこぽ


「絶対はめられた」

「何落ち込んでるの?」

.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ