NOVEL2<R>
□壊
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「てめぇわざとか…」
「そんなわけないでしょう」
赤い顔に浅い呼吸
潤んだ瞳
情欲を掻き立てる香り
(食べてしまいたい)
「君そんなに薬品に弱かったっけ?」
「うる…せぇ」
ああ
だめだ
食べたい
食べたい
壊してしまいたい
「おいっ」
ッ!?
いけない
自我を失いかけていた
「それっちょっと催淫剤の入ったお酒なんです。別に特別なものではなく一般的に飲まれてるやつで…。まさか神田が酔うなんて思ってなかったんです」
そう、ほんの少し気持ちよくなれればと思っていただけだ
しかし、目の前の彼は明らかに熱に翻弄されていて
まるで熟した果実のよう
「神田…」
「っ…ガキみたいな顔しやがって」
「その、僕」
ぐいっと胸ぐらを引かれ、唇に触れたそれは熱く甘い
「さっさと来いよ、てめぇこの期に及んでビビってるのか?」
「っ…怖いですよ」
食べたい
壊したい
愛したい
「怖じけるな、壊しに来いよ」
クスッと口角を上げた彼はあまりに妖艶で
僕が必死に守っていた口火を切ってしまった