星霜日話

□拍手
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建業城の一角に諸葛瑾と爽涼慧石(ソウリョウ ケイセキ)はいた。

「瑾ってほんと暇だよなー」

「仕事サボってあたしに付き合ってるあんたには言われたくないけどねぇ、お爽?」

「まあ、そこらへんは言いっこなしってことで」

橋の欄干に肘を着いて城下町を眺めながらニシシッと笑う爽涼に諸葛瑾は呆れたように同じ方向を眺める。

「…それより陸遜ちゃんはどうしたんだい?」

「あぁ、陸なら孔さんとこ。飽きもしないでよくあそこまで心酔出来るよなぁ」

彼の言う『孔さん』とは諸葛瑾の兄であり陸遜の師匠である諸葛亮孔明のことだ。

「それだけの魅力はあるからねぇ」

「たしかに。でも、瑾の方が俺は好きだけどな〜」

「おや、嬉しいこと言うじゃないか」

「まあな。それに…」

(瑾はあの頃の俺に似ているから)

「何か言ったかい?お爽」

「なんでもねーよ」

「そう言われると聞きたくなるのが人の性ってもんなんだけどねぇ?」

「なっ、なんでもねぇってば!仕事に戻る!!」

「いいのかい?今戻ったら周瑜の旦那に『大目玉』食らうだろうねぇ」

諸葛瑾は慌てて執務室に戻ろうとする爽涼の背中に予期出来る可能性を投げかけた。

「うっ……もう少しここにいる」

「お爽はそれでいいんだよ」

「あっ!ちょっ、瑾止めろよ!!」

なでなでと暴れる爽涼の頭を諸葛瑾は満足そうに撫でた。




END
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