開かない心

□召喚景記-ショウカンケイキ-
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第一話
召喚景記
しょうかんけいき



「貴様には守りたいものはあるか?」


遠くから、微かにだけど、はっきりと声がした。


「死をも恐れぬ覚悟はあるか」


何のことだ?

ここはどこだ?

俺は……誰?


「明日、貴様の元に行こう。そして、答えよ。我に求めしものを!!」


一際強く声がすると、辺りが明るくなって目は見えなくなった。




「コラ悠斗!!起きやがれってんだ!!」

「…あがっ!!?」

姉貴の声がしたかと思ったらフライパンが俺の頭にヒットした。

「マジ死ぬ…」

「んなことで死ぬかバカ。寝言は寝てから言うもんだ」

痛い頭を擦りながら部屋の入口に目をやると姉貴が扉に凭れながら煙草を吹かしていた。

やっぱり、いつ見ても偉そう。

俺の考えていることに気付いたのか、姉貴の営業スマイルのどす黒いヴァージョンを向けて来た。
朝っぱらから俺は背筋の凍る感覚を味わう。
このままでも十二分に笑顔で八つ裂きにされそうになって、俺は慌てて部屋を飛び出した。

「行って来る!!」

俺は学ランに着替えて家を飛び出した。
朝飯も食わずに…。






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