開かない心

□召喚景記-ショウカンケイキ-
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「腹減ったぁ〜」

「はい。購買部のジャムパンだよ」

「ん、サンキュー」

俺は今、学校の屋上で親友の滝川 和己と昼ご飯を食べている。
今日はテスト前日の午前のみの授業。
従って、ランチも自由。

「相変わらずだね」

「まぁ、な」

「悠斗は朝弱いからね」
空を見上げていた視線をチラッと和己に向けると少し苦笑まじりに笑っていた。

「どうせ俺は寝起きワリィよ」

「自分で言ってどうするのさ」

こんな他愛ない時間が俺の幸せ。
いつものこんな時間がいつまでも続くって思ってた。

あのクソ野郎があらわれるまでは…




「明日から…」

テストだなぁ。と続くはずだった。
俺はその言葉を紡ぐことは出来なかった。

理由は簡単。

いきなり空から男が降って来たからだ。
つーか、ありえなくねぇ!!?
なっなんで、野郎なんかが降って来んだよ!!

「ねぇ、悠斗。知り合い?」

「んな訳あるか!!」

に加えて和己のまさかのマイペースボケ。
とにかく、俺は不思議な男を気がつくまで見てることにした。
んなとこに放っといたら可哀想だろ?

俺って優しいなぁ。

じゃなくて、まずは頭をブってたから血が出てないか確かめて…。

――ぬるっ。

HAHAHA。
なんだろなぁ。
このコイツの頭から出てる赤くてぬるっとしたキモい液体は…。

血?まさかそんな訳がぁ……てっ、血ィィーー?!!

マジっすかーー!!!?

嘘じゃねぇ!!
血出てるじゃん!!
ヤベーーーじゃんか!!!!

「か、和己!保健室から包帯と綿花かっぱらって来い!!」

「う、うん。分かった!!」

和己は慌てて屋上を出てってた。
さて俺はどうしたもんか。
とりあえず床に転がしとくのも酷だよな。
でも、枕に出来そうなもんは…あっ、学ラン丸めたらいいよな。

俺って頭良い〜。

俺は学ランを丸めて男の頭の下に敷いてやった。落ち着いてみるとコイツ美形だなぁ。
まつ毛長いし、顔整ってんし。
しかし、なんで空から男が降って来るんだ?とか考えながら空を見上げた。


――バンッ!!

「はい。これ……」

全力疾走したらしくフラフラな和己は俺に包帯と綿花を渡してその場で寝息を立て始めた。
コイツはいつもそうだ。全力で何かした後は突然爆睡し始める。
現に今も胡座かいてる俺の膝の上に頭乗せて爆睡してんし。
さて、手当てしてやるか。

俺は男の頭から乾きかけた血を綿花で拭って包帯をしてやる。
綿花が傷を掠って眉間に皺を寄せたりしたがまぁ、そこはお愛想ってことで。





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