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□恋愛事情a.s.
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「にゃ〜にぼーっとしてるんだよ、オっチっビっ♪」
いきなり肩に人一人分の重みがかかったと思ったら頭上からそんな一言が降ってきた。
「エージ先輩…」
上を向いて答えるリョーマに英二はにやりと笑ってリョーマのほっぺたをつつく。
無論、リョーマの肩に抱きついたままの形で。
「手塚の事が気になるのかにゃ〜?」
「え…」
図星をかかれたからというよりあまりに意外な言葉が意外な人物から出た事実に一瞬ぴしりと固まったリョーマは、なんとか気を取り直して小声で英二に尋ねる。
「…気付いてたんスか」
「ん〜ん。気づいてなかったよん?不二情報〜♪」
「ああ、不二先輩か」
やっぱり、というような言葉が脳裏をよぎる。
あの人なら気付いていても不思議は無い。
さすがに本人にばらすような事はしなかったらしいが…それにしてもこの人にばらすとは。
この先ちょこちょことからかわれる事が手に取るように分かり、リョーマは憮然とする。
だが、不二に意見するほど愚かでもない。
あの人を敵に回すことがどれほど恐ろしい事になるかということ位はさすがのリョーマでも分かっていた。
首にかじりついたままの英二を無視してリョーマは深くため息をついた。
(ま、ばれちゃったものはしょうがないか…)
いささか不安な感もないとは言えないのだけれど。
「お〜ちび〜、無視するなよぉ〜」
むぅ〜、と子供のように頬を膨らませる英二にリョーマは振り向いた。
そしてにっこりと笑う。
「エージ先輩?」
珍しいというより今までに一度も見たことがないようなリョーマの極上の笑顔に、英二は喜ぶより真っ先に恐怖を感じた。
(目、目が笑ってないよ…!)
釣られて引きつるような笑顔を浮かべながら、びくびくしながらも一応聞き返してみる。
「にゃ、にゃに?」
「もちろん、協力してくれますよね?不二先輩も一緒に」
とりあえずリョーマは英二よりは上手だったらしい。





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