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□My Dear…
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My Dear…





「え?いちごはあげないの?」

洗濯物を干すおちゃの周りをきゃいきゃいと取り巻きながら騒ぐ紅と白。
あげるあげないと、なにやら楽しそうな雰囲気に浮いた疑問符をいちごが尋ねれば、逆にきょとんとした顔の三人に一様に視線を向けられてしまった。
「紅はいちごにあげる!」
「白はおはぎにあげるよー」
「紅と白は交換もするんだよね?」
「うん!するー」
「ねー」
「僕は兄さんにあげるかな」



だから、なんの話だ?

夏にはまだ早い、青空は高く爽やか季節。
貧困な頭で思い浮かぶプレゼントと関連する日、即ちバレンタインとは、どうにも合致しない時期だった。



しかし再度口を開く前にたたたと駆け寄ってきた紅と白の姿から、そのターゲットが自分に移ったのが分かれば、いちごは縁側から仕方なしに立ち上がった。
腕にしがみつく小さな体は遠慮がなく、遊んで遊んでといっぱいにアピールしているのだ。
やれやれと思いながらも自然と笑顔になってしまうのも仕方が無い。
「おし、おまえら川行くぞ!」
「川ー!」
「水遊びー!」
おちゃはそんな三人の様子を楽しげに眺めながら、次の洗濯物に手を掛けた。






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