◆赤き鬼神の日々



隊長時代以降、とにかくふたりが出会ってから数年後の話。

緊急出動の号令がかかり、ゼロはエックスを連れて出動したいと思う。
けど呼び出そうと思ったら、エックスはメンテナンス期間中で通信がつながらない。

「おまえら先に行ってろ」

ダッシュでメンテナンスルームに駆け込むゼロ。
勝手知ったる何とやら‥とメンテナンスポッドを開けて、スリープ中のエックスを無理やり起こして任務に引っぱり出すゼロ。半分寝ぼけたエックスの手首を引いて廊下を走るゼロ。萌。
で、あせったエックス「な、何するんですか先輩!」
ゼロ「出撃命令がくだった。いまSK-57地区で大物が暴れていると通報が、‥『先輩』?」
ハタと口をつぐむゼロ。でも足は止めない。握った手首も放さない。

「痛いです、ゼロ先輩」

怯えたようにこちらを見上げるエックス。しかも、あまり親しくない人を見上げる視線で。
どうやら、記憶[メモリ]を再調整し終わる前にエックスをポッドからはずしてしまったらしいです。つまり昔に戻ってしまった状態。
「しまったあああ!」

ゼロのがさつさの理由については色々考察がなされていますが、自分が見た中で一番面白かったのはこちらのサイト様!!
こっそりリンク→Luzie様『Null Space』ttp://luzie.vis.jp/nullspace/(パソコン向け)
Text→junk box→キャラ(ゼロ)の、緻密な考察がすごい!


で、さっきの続き。
転送装置に向かって廊下を走ってる最中に気づけばまだ良い。
異常に気づかないままうやむやで現場に到着しちゃうというパターンもありえる。

気づかないまま現場に到着して戦闘も開始して予想外に苦戦してピンチになった瞬間、でもエックスが撃ってくれるだろうと思ってゼロのジャンプが一瞬遅れ、でもエックスのバスターは火を噴かず代わりに暴走メカニロイドのビームがゼロの手を吹っ飛ばす。
「ぐあッ!」
一瞬何が起こったか把握できないゼロ。
エックスがあのタイミングで撃たない? 何故?
と同時に耳に飛び込む「せ、先輩ー!!」という僅かに泣きの入った声。その単語で、瞬時にすべてを把握するゼロ。
「しまったあああ!!」
叫びつつもメカニロイドの振り回すアームを避けて宙返りジャンプ。

結局、居合わせた他のハンターたちと片腕のゼロが奮闘してメカニロイドをスクラップ。昔に戻っちゃった状態のエックスはあんまり役に立たず。
改めて、現在のエックスの成長ぶりを痛感するゼロ。

ゼロは、オロオロしてるエックスを連れてベースに帰投、メンテナンスルームへ。
エックスは、廊下でエイリアやアクセルに話しかけられて「えーと、誰でしたっけ」とか言ったり。

ゼロはメカニックに腕をくっつけてもらう。エックスもメンテナンスをやり直してメモリを全部きちんと揃える。眠っていたはずの時間帯の記憶に、スリープの記憶と妙な記憶がごっちゃに同時記録されていて混乱するエックス。心配そうに見守るゼロ。
さすがにすぐに事態を呑み込んだ(記録データを整理した)エックス、

「‥‥ゼロ、ちょっとそこに座ってくれるかな。」

とか口許を引きつらせた笑みでゼロを見つめて欲しい。

「メモリを調整中に装置からはずすなんて滅茶苦茶だ! 下手したら記憶がみんな毀れるところだったんじゃないか!」

「それに、その腕! こんなことして、君だって無事に済まなかったかもしれないのに!」

で、エックスから散々お説教されてる最中、ゼロがしみじみと「おまえ、使い勝手よくなったよな」とか呟いて「ちゃんと聞いてるのかい!」とまた怒られる。

まあ、未来の記憶媒体なら現代の記憶媒体とはちがって、中途で接続解除してもそうそう壊れないはず。なのであんまり危機感がない。

まるでこたえてないゼロに、だんだん疲れてきて「あー、‥‥もういいや」とか諦めちゃうエックス。
いや、ゼロもゼロなりに反省しているが、考えてることがなかなか顔に出ないだけ(出たときは相当キレてるときです/笑)。

  ◆ ◇ ◆

で、夜になって、自室で落ち込みモード全開のエックスさん。

「ゼロの腕をいたずらに撃たせてしまうなんて‥」

妙な責任を感じて悩むエックス。そして、当然のように今日も同じ部屋の中に居座ってるゼロ。

「俺がレプリで良かったなエックス。人間だったら、腕が飛んだら大ごとだ」

「ゼロ!」

「あー、おまえは悪くない。ただ俺に引っぱり回されただけだ。‥‥俺は油断していたから撃たれた。それだけだ」

「‥‥‥」

パチリとまばたきするエックス。

「もう何年も、俺が撃ってくれと思ったときにおまえが撃たなかったことはない。だから今日も撃つと思った」

ゼロの言葉に、呆れて溜息をつくエックス。

「使い勝手、ってそういうことか」

「いや」

ゼロは顔色一つ変えずに、

「俺はおまえに甘えていたんだと思う」

「‥‥は?」

ゼロの言語感覚はエックスにとって永遠の謎だと思う。どの口が甘えとか言うんだ。甘えるって何だ。ゼロが?おれに?
そして、その言葉の意味するところを唐突に理解するエックス。

「‥‥それは、おれを信頼してくれてるってことでいいのかな」

だてに永年のパートナーはやってないので、これくらいの語釈は序の口です。
で、ゼロも「そんなところだ」とか答えてあげればいいのに、気障な彼の口から出たのは

「さぁな」

という、味も素っ気もない返事だったり。
でも気にしないエックス。
ゼロもそんなエックスを気にいってる。
黙って寄り添うふたり。

  ◆ ◇ ◆

ゼロがエックスを引っ張り出した理由はいろいろあると思います。
作戦上、高性能の遠距離戦闘タイプが必要だったとか、エックスバスターの出力がベースで一番高かったとか。あるいは、単に連れて行きたかったとか(←)
ゼロは周囲や自分自身に対してさえもほとんど執着らしい執着を見せませんが、ことエックスの事となれば無茶をしでかすことこの上ない。

結局エックスがゼロの無茶を許してしまうのは、行動そのものへの怒りや悲しみよりも、ゼロが自分に対する執着を見せてくれたという後ろ暗い喜びのほうが、エックスの心の中でほんのわずかに勝っているからだと思う。
そしてエックス本人はそのことに気づいておらず、無意識のうちに許しちゃってたり。

あと、心理的にではなく、身体を張って甘えるゼロ(エックスで膝枕とか/笑)というのも、ちょっと見てみたい気がします。













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