◆戦闘型レプリの結婚指輪について(萌語/自分設定)


「ゼロ、あれ、部屋に届いてたよ」

「そうか」

「ホログラムで見たより、ずっと綺麗だったよ」

「そうか」

「いつにしようか」

「今夜‥‥いいか?」

「わかった」

夜。
ゼロがエックスの部屋に行くと、エックスはすでに「それ」を手のひらの上に転がして待っていた。
手にしているのは透明な紺色のガラス球。
白い床に、小さな青い光がちらちらと揺れる。

ガラス球はよく見ると繊細な切子細工。
どちらかといえばかなりロマンティシストのエックスは、切子の美しさに感動している。

「これだけでひとつの芸術品だよ」

ゼロは、エックスのロマンティシズムはよくわからないんだけど、複雑なガラスの切込みを通して光がランダム反射する様子は面白い、とか考えてる。

やがてエックスは紺色のガラス球を両手で握って力を込める。
割りません。ガラス球はデザインの複雑なラインにそって二つに分解、なかから鋭い銀色に輝くリングが出てくる。
エックス、リングを取り出してガラス球を閉める。何事もなかったようにくっつく紺色の球。

 ◆ ◇ ◆

ちなみに、セットのガラス球は茜[あかね]色です。ゼロカラー。
ブルーはエックス、レッドはゼロ、と見せかけてそれはじつはお互いの額のクリスタルの色でもある。萌。

最初は、ふたりに何かプレゼントさせてみようと思ったのです。
しかし、起動日不明な彼らに誕生日プレゼントは無理だし、バレンタインのプレゼントは食べたら無くなる。
残るもの。残るものがいい。形に残ってこそプレゼントだ。

というわけで、今回はペアリング萌語。

リングの材質は合金(Ti、Niなど)。
これは必須です。
戦闘レプリは荒っぽい仕事が多く、普通の金銀リングはすぐに溶けたり曲がったりしてダメになってしまうはず。
金属のなかではTi(チタン)がおすすめ。軽量かつ強度/耐食/耐熱性に優れているため、スペースシャトルなどにも使われています。
ちなみに、エックスのボディは公式設定によれば『"Titanium-X" alloy』(=チタニウムX合金)という謎の金属でできているそうです。

  ◆ ◇ ◆ 

ゼロはエックスからリングを受け取る。
けど、まだエックスの手にははめられない。
なぜなら、戦闘レプリ用のリングは内蔵式で、指ごと取りはずしてはめるから。(!)

アーマー並に硬い金属を使うとしても、そもそも体表に余計な飾りを身につけている時点で戦闘に不利。
だったら最初から体表にしなければいい!

というわけで、戦闘レプリ用のリングは指骨格に直接組み込む型式になるはず。

骨格に組み込んでカバーをかぶせてしまうので、外からは見えません。
外から見える型もだいぶ考えましたが、(とくにゼロのように手に武器を持って戦うタイプは)あの白い手のままじゃないと仕事にならないので断念。
というわけで、ここは「肌身離さず」という点を重視でいこうかと。

形は人間のリングに似ていますが、内側は螺旋型の溝が刻んであります。
指関節のパッキンを押さえるナット代わりに嵌めるようになってる。

このリング、いちばんの萌えポイントは『誰かにつけてもらわなければ装着できない』ということ。
指をもろに外すので、自分では無理です。
外した指とパッキンを押さえながらスパナ回す、とか片手じゃ不可能。
必然的に相手につけてもらうことになります。
リングを装着すること自体が密室化、というかふたりだけの共同作業というか。

さて。

エックスの手の神経を遮断して分解し、リングをはめてやるゼロ。
ゼロは何ごとも大雑把だけど、そのわりに工学的な知識はたくさん持ってそう。何せ特Aだし。
で、長い長い手順を終えて、後は人口皮膚と白い手のカバーを接着するだけになったところで「まった」をかけるエックス。
怪訝な顔をするゼロ。

「どうした」

「まって。まだ閉じないで」

もう一度、よく見ておきたいんだ。もう当分は見られないから。
云って、切開してないほうの手で、自分のむき出しの内骨格を愛おしそうに撫でるエックス。

ゼロはそれを静かに眺めている。
エックス自身が思ってる以上に、ゼロはエックスのことが大好きだと思う。
‥‥そして、エックスと共にあり続けることが、結果としてゼロにできる制作者への最大の反抗になっていることに未だ本人は気づいていない。

  ◆ ◇ ◆

以下ちょっと血液描写注意。
後日、ゼロの指にもリングがはまります。
つけたのは当然エックス。

でもエックスの場合、工学的な分解とか修理はあまり得意でないイメージが。
ゼロは得意なので、エックスの手つきについ口を出す。あげく自分でやろうと手も出す。

「わっ、ちょっと、無茶だよ、自分でやるなんて!」

案の定、スパナの先で循環液のチューブを傷つけてしまうゼロ。しぶきを立ててそこらじゅうに飛び散る真っ赤な液体。
(*X4ゲームの映像によれば、レプリの循環液は血液を模して着色してある)

痛覚遮断中なのでとりあえず痛みはないけど、あまり楽しい映像でもない。
顔をしかめるエックス。

「ほら、言わないことじゃない!」

「気にするな。俺の部屋だ、掃除ぐらい自分でやるさ」

「そういう問題じゃないー!」

堪えきれずに笑い出すゼロ。からかわれてるのがわかって憮然とするエックス。
ゼロの悪ふざけはエックスの予想の範疇をいつも軽く超えてる。
時間帯は昼間。さんさんと日の光が差し込むゼロの部屋。

‥‥エックスの困り顔が見たいという誘惑に勝てないゼロ。ついつい茶化してしまう。
でも、以後ひとりで戦いに赴いたときのゼロの勝利ポーズは、リングのある場所に目を瞑ってそっとキス、とかになってたり。人づてにそれを聞いて、一人で顔面ヒートしてるエックス。萌。

エックスはこまやかな言葉で、ゼロは態度で、相手への思い入れを示すタイプだと思います。












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