-妖麗ハニー-

□壱
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やけに暑い今日、いわゆる帰宅部の私は学校が終わると家路を急ぐ。

もうすぐ家だというところで、
少し前方に茂みから誰かが飛び出してくるのが見えた。

「『あっ』」

 あの夏目くん、だ。

「はぁ、はぁ、えと、」

―name1、さんだっけか。

『…ど、どうしたの?すごい走ってたみたいだけど…』

 なんなんだ。いきなりのこの状況はなんなんだ。
 噂の美少年と突然出くわすとか…
 一応女の子だ。美少年は嫌いじゃない。
 
「あぁ、いや、なんでもないんだ。」

―あの妖怪はうまく撒いたみたいだ。

『…ならいいけど。(苦笑』

 いや、あきらかになんかあったでしょうよ、と思いつつ。
 てか、初めて夏目くんと会話したな。


微妙な沈黙を挟んで、

「なちゅめー」

「!! ニャンコ先生!」

カサカサ―

ものすごく太った猫が視界に入った…

『え、今しゃべった…?』

「ん…にゃ!?

「せ、先生!なんでしゃべってんだよ!」

「ちょ、ちょっと気ぬいてただけだー!」

「こんな時間から酔っ払ってるからだろ!」

な、なんかブツブツ言ってる?気のせいかな…

「先生、こうなったらややこしくなる前に逃げるぞ。」

「こら!私の話を
「そ、それじゃあ!!」

「あっ!うん…」
 
ちょっと気になっていた美少年は変な猫を抱え、颯爽と去っていった。

私も早く帰ろう。


   

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