自分で書いてみた。

□咲-saki-
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【愛してね、もっと】


今日は初デート。

私は今日初めて眠れなかった。

目の下クマ出来てないといいんだけど…

けど、今すぐ会いたい。

あの日告白したとき。

ダメかと思って泣いてしまった私を抱きしめてくれた温もりが今も残ってる。

中学生のとき始まったこの恋が、
三年ものときをかけて実るなんて思ってもいなかった。

…今思い返してみると、ひょっとして泣き落としを使ってしまったのかしら?

……。

いやいやいやいや。

違うと信じよう。

とりあえず、だからこそ大事にしたい。

このデートを。

二人だけの時間を。

そんなことを思っていると、少し遠くの方から彼女がやって来た。

待ち合わせ時間10分前。

律義な人だな、と思う。

それとも、私のためとか…

と、思ったのだけど。

道行く男の人やら女の人を観察するように歩いている。

それも考えたりにやけたりしながら。

私の期待とはどうやら違うみたい。

少し残念。

上埜さんが私に気付いた。

それと同時に、優しい笑み。

ドキッとしたのは言うまでもなく。

この優しい笑みは恋人の特権だと思う。

普段は意地悪な笑みしかなかなか見せてくれないのだ、上埜さんは。

「おはよう」

「おはようございます、上埜さん」

「何となく考えてはいたんだけど、
やっぱり早いわね美穂子は」

「上埜さんだって10分前じゃないですか十分早いです」

「ありがとう。
もしかして待った?」

「いえ、おかげさまで」

「それは良かったわ。
今度は20分前にでも来ようかしら」

今度と聞いて、無条件に嬉しくなる。

無意識に、さりげなく人を喜ばせるのもこの人の良いところでもあり、悪いところでもあると私は考えている。

「それじゃあ私は30分前に」

私がそう言うと、上埜さんは笑った。

「待ち合わせ時間変わってるわよ、それ」

「流石に30分前はやり過ぎですよね」

「そうねぇ。
する人もいるんだろうけど、私相手にそれはしなくていいわよ」

「そう言われるとしたくなりますね」

「それじゃあ私もしようかしら」

30分前行動。

二人ともそうなると、30分余裕が出来てさらに一緒にいる時間が増える。

時刻は12時51分。

ちょっと考えてみる。

いや、多分これは。

「いいですね、30分前行動」

「でしょ?
といわけで、これからは30分前行動ね。
あっなんだったら、1時間前行動でもいいわよ」

「いいですよ、それでも。
…ただ」

「ただ?」

「素直に、待ち合わせ時間早めてって言って」

「……ばれた?」

「そうかな、とは」

「あはは、そうね。
流石に1時間前じゃバレるわよね」

くすくす可笑しそうに笑う。

そんな軽い笑顔にも幸福を感じてしまう私って、重症かしら。

「うん、といわけで。
せめてお昼は一緒に食べる時間にしましょう?」

「そうですね」

「じゃあ、行きましょうか」

差し出される手。

私がエスコートするという意思が伝わってくるというか。

何か力を感じる手だった。

私が手を取ると、指が絡まった。

とても自然に。

がっちり繋がって、
私は答える。

「えぇ行きましょう」

そうして私達は歩き出した。



ねぇ、上埜さん。

相変わらず私といても、目移りする貴女に一言。

愛してね、もっと。

私も今以上に愛し続けていくから。

ただ私は。

貴女が好きです。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

愛してね、もっと。

愛してね、もっと。

愛してよねもっと。

私だけを見て。

愛してね、もっと。

愛してね、もっと。

愛してよねもっと。

もっと。

ただ貴女が。

好き。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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