自分で書いてみた。

□マリア様がみてる
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【be master of life】



事の発端は薔薇の館でのある小さな事だった。

紅薔薇様こと福沢祐巳様の楽しみにしていたスコーンが無くなっていたのだ。

普段ならこんな事では騒がないのだけど、余程大事にしていたらしい。

かなり放心していた。

さて、ここで問題。

まさか、勝手にスコーンが家出するなんて 、そんなことあるはずないのだ。

じゃあなぜ?

決まってる。

誰かが食べた。

じゃあ、誰が?

私は一番最後に来て、事件はもう起こっていた。

というか、スコーンの存在自体知らなかった。

白薔薇姉妹という線も薄い。

間違ってもつまみ食いはしないと思う。

乃梨子様だけとなると話は少し変わるかもしれないが…知らないと言っていた。

というか。

わざわざ考えなくても、いるのだ。

この薔薇の館には一人。

つまみ食いをしそうな人が。

そう、それが。

「だから私はやってないって言ってんのにさっ。
ホント、頭来ちゃう」

さっきからご立腹のうちのお姉様な訳である。

島津由乃。

祐巳様との小討論の末、いきなり薔薇の館を飛び出してここまで来たのだ。

悪いのだが、誰だって思う。

清楚で可愛いらしい容姿とは裏腹。

薔薇の館でつまみ食いした人がいるらしいよ。
誰だと思う?

誰だってこう答える。

"黄薔薇様"。

つまり、そういうわけで。

「でも、お姉様。
薔薇の館から逃げた時点で、かなり怪しいですよ」

「逃げた?
いつ私が逃げたのよ!」

「本人にそのつもりがになくても、
周りにはそう見えました」

「……」

逃げた、その発想はなかった。

何も言わなくても、口を開けてぽかんとしてる姿を見れば誰だってわかる。

ホント、どこまでも自分中心な人なんだな。

「ふっふん、なによ、そんなの。
とにかく!
私は逃げてないし、食べてないの!
…あっ、もしかしてあんたも疑ってんの?
この私を」

敵見つけたりといった感じで見て来る。

…ホント、勘弁してほしい。

私は。

私はここに来るまで苦労したのだ。

かなり。

絶対由乃さんだと言い張る祐巳様相手に、私は絶対違うと、断固言い張った。

2学年上の先輩に、言い張った。

周りにも二人、先輩がいたのに。

それでも頑張ったのだ。

なのにこの人は。

私が信頼してないとでも思っているのだろうか。

「私は、誰がなんと言おうと関係ありません。
お姉様の…味方ですよ。
当たり前じゃないですか」

言ってて恥ずかしくなってくる。

けど、嘘はない。

全部本心。

普段なら絶対こんな事言わないから、どんな反応するかなって。

期待してたのに。

なのに。

「そうよね〜菜々ならそう言うと思ってたわ!
よし、そうと決まれば正面突破よ。
無実だってこと、祐巳さんにわからせてるんだからっ」

なんて。

私の発言なんて気にも留めずに、さっさと行動に移そうとするのだ。

そうやっていつも一人で解決しようとして。

私だって、いつも意地張ってるわけにはいかないのに。

たまには、側にいてほしい。

すぐ飛び出す癖、直してもらいたいもんだ。

「なにため息ついてんのよ。
戦う前から疲れてんじゃない!
ほら、行くよ」

いつの間にかに言う立場が替わってる。

はぁ…

私はまだまだお姉様に振り回されそうだ。

疲れながらもお姉様の後をついて行った。

「ねえ、菜々」

「…なんですか?」

「ありがと」

……。

んっ!?

「えっ?
お姉様、今何て言いました!?」

「えーいうっさいうっさい!
早く行くわよっ」

そう言ってのっしのっし歩く。

どうしよう。

多分、凄い顔だらしなくなってる。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

誰が何と言おうと関係ない。

あたしは味方よ、そんなの当たり前の話よ。

あたしもずっと意地も張ってられないから。

たまには側に居てほしい。

be master of me。

be master of life。

be master of love。

be master of music。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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