Syuhei.H
□相合傘
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梅雨なんて心臓に悪い。
前日は晴れていたのに次の日は朝から雨だったり、傘を持ってない日に限っていきなり雨が降ってきたり。
それによって意外な奴が迎えに来てたり。
「よう」
「どうも。てか、何で居るの?」
「あー散歩。散歩してた」
雨の中、誰が傘を差してまで散歩をしたくなるだろうか。
明らかにこの男、修兵の嘘だ。
修兵のことだから、私が嘘に気付くことなんてわかってる。
それが遠回しに、迎えに来たと言ってることにも。
「爺臭い」
「ひでえな、俺はまだ若いっての。で、入らねえの?」
傘を傾けて見せてきたのは、修兵の隣に空いたスペース。
私はそのスペースに納まってみる。
「ちゃっかり相合傘しちゃってるよ、私たち」
「ちゃっかりじゃなくて、わざとだ」
(私だったら雨の中、傘なんて差さずに散歩するけど)
(風邪ひいても知らねえぞ)
(今、二人して肩濡れてるじゃん)
END