11/15の日記

15:36
※ / 終末の先 / シリアス / ロックマン、ロンナ
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【終末の先】

21XX年六月下旬、ロックマンは科学省のネットワークの、その中でも中枢にほど近い部分にある電脳世界の中にいて、その中心に俯きながら佇んでいた。
ロックマンの斜め上には現実世界の風景を映し出す画面があり、その画面には最愛のオペレーターである光 熱斗、と良く似た柔らかい茶髪をした中年男性が映っていて、やや憔悴した顔をしながらも、ロックマンに優しい視線を向けている。
此処は、科学省の中枢サーバー室のすぐ近くにある、光 来斗の研究室の電脳だ。
ロックマンは、科学省のネットワークに接続されていて来斗が愛用している最新のコンピューターの中にいるのだ。

「それじゃあロックマン、此処でしばらく待っててね。」
「……うん。」

来斗がロックマンにその場での待機を命じると、ロックマンはゆっくりと顔を上げ、来斗に視線を合わせて僅かに笑顔を作りつつ返事をした。
しかし、その返事の声には全くと言っていいほど力や覇気が無く、来斗に向けられているはずの視線は来斗の中に来斗ではない誰かを見ているようで、笑顔も普段の明るさや透明感が無い。
来斗から見て、いや、誰が見たとしても、ロックマンが酷く憔悴している事は明らかだった。
それらは来斗の親譲りで時より役に立つ直感を刺激し、今のロックマンを独りにしてはいけない、という警鐘を鳴らす。

「ねぇ、ロックマン。」
「……うん。」

来斗はロックマンに呼びかけたが、ロックマンの返事は鈍く、やはりいつもの元気が一切感じられなかった。
恐らく今のロックマンは、単純な計算一つする事もできず、簡単な会話すら成り立たない。
そう思うと、来斗はロックマンまで生きながらにして死んでしまうような不安を感じたが、だからと言ってこのままロックマンの傍にいて、共に泣き明かす事は社会のシステムが許してくれない。

「来斗くん、メールだよ。」

ロックマンよりもいくらか覇気のあるしっかりとした少年の声が、来斗の左肩の上から来斗を呼んだ。
来斗が左肩を見ると、そこにはロックマンとロールを足して二で割ったような少年型ネットナビ――ロックマンジュニアがいる。
ロックマンジュニアはロックマンや来斗に比べるとあまり憔悴しているようには見えないが、それでも元気と言うほどの明るさは無く、少し困ったような顔で来斗を見つつ、時よりロックマンにチラリと視線を向けていた。
来斗はそれだけでロックマンジュニアの言いたい事を察したのか、メールは誰から? とは訊かず、ズボンのポケットからPETを取り出して、ロックマンには見えないようにPET本体の画面でメールの送り主と件名を見た。
メールは複数着ており、それらは全て、今のロックマンには見せるべきではない件名をしている。
一部は、送り主すら見せるべきではないかもしれない。
来斗はロックマンジュニアがそうしていたように、パソコンの画面に映るロックマンにチラリと視線を向けた。
一瞬、ロックマンの暗く沈んだ視線と来斗の視線がぶつかり合い、来斗は焦って視線をPETに向け直す。
今ので何か気付かれただろうか? と来斗は心配したが、ロックマンは特に何か言おうとはせず、ただ、何処を見ているのか分からない、遠くを見るような目で来斗の方を向いているだけで、ロックマンジュニアの躊躇いがちな視線にも反応しない。
気まずい沈黙に耐えかねてか、ロックマンジュニアが遠慮しながらも大胆に口を開く。

「来斗くん、どうするの?」
「えっ、あぁ……うん、どうしようか。」

来斗は困った表情を見せなながらそう答える事しかできなかった。
ロックマンジュニアもロックマンの手前、あまり深く突っ込んだ事を言う事は出来ない。
もしそれを此処で言ってしまえば、憔悴しきったロックマンの心に一種のトドメを刺してしまう事は明白だからだ。
幸い、来斗はロックマンジュニアが口にした言葉だけでロックマンジュニアが本当に言いたい事を理解したようだったが、それは理解したからと言ってすぐに解決方法が決まるものでもなく、しかしどちらか片方は選ばなければならないものであるから、来斗もまたロックマンとは別の形で追い詰められていく。
熱斗の事をメイルやその周囲に任せてロックマンの傍にいるか、あるいはロックマンの事を他の誰かに任せて熱斗の事を先に片づけてしまうか、来斗は酷く悩む。
そんな時、来斗のパソコンから急に、ロックマンの声では無い無機質な声が聞こえてきた。

「来斗サマ、ロンナ.EXEノログインヲカクニンシマシタ。」
「えっ、ロンナ?」

突然のログイン報告に、来斗とロックマンジュニアは驚いてパソコンの画面を見て、それから顔を見合わせた。
数秒遅れて、ロックマンの声もする。

「……ロンナ、ちゃん……?」

ほぼ奇跡的に聞こえたらしいロンナの名前に、ロックマンは驚きが隠せないようで、それまで来斗に向けていた視線を外し、自分の周囲を反時計回りにゆっくりと一周だけ見渡した。
すると、背後の方にやや小さく、近くに来ればロックマン程度の大きさになるであろう人影が見えて、ロックマンは少しだけ、自分の中の絶望の淀みから現実に引き戻されたような、ハッとした表情を見せる。
ロックマンの背後にゆっくりと歩いて近づいてくるのは確かに、ロックマンジュニアよりももっとロックマンにそっくりで、しかし髪型だけは露骨に違っていて、実は性別も違う少女型ネットナビ、ロンナだったのだ。
ロンナはロックマンと来斗とロックマンジュニアの間に気まずい空気が流れている事など全く知らない、あるいは気にしていないといった様子で、遠慮無くロックマンに近づき、ついにはその隣に辿り着き、三人に挨拶をする。

「こんにちは、ロックマン、来斗くん、ロックマンジュニア。ロックマンは久しぶりだね、元気にしてた?」

来斗やロックマンジュニアの苦い表情や、ロックマンの生気の無い表情を見れば、ロックマンが元気などでは無い事ぐらい誰でも分かりそうなものだと言うのに、ロンナは一切躊躇う事無く問いかけるものだから、来斗は顔を手で覆ってその場を見なかった事にしたいような気持ちになった。
ロックマンジュニアも、ロンナはやらかしてしまった、と言いたげな苦い表情で来斗の肩の上からロックマンとロンナを見ている。
ロンナと来斗、ロックマンジュニアはかれこれ二十年ほどの付き合いになるのだが、二人はまだロンナのそういった部分――誰でも読めそうな空気をあえて読まないところ等――を理解できてはいないのだ。
だから二人は、ロンナが普通の人間やナビならしないであろう発言や行動をする度にかなり肝を冷やしていて、その度にロンナへ注意をしているのだが、ロンナには自重する気など一切ないらしく、相変わらず自由奔放な態度で生活しているのが現状なのだ。
来斗は、今回も後で注意をしなければ、と思いながらも、まずはロックマンのフォローに回ろうと思い、改めてパソコンの画面を見る。
すると、そこにいるロックマンはそれまでの心此処にあらずなロックマンではなくなっており、視線はしっかりとロンナに向けられていた。
ただし、その目は盛大に潤んでいる。
これは不味いかもしれない、と思う来斗とロックマンジュニアをよそに、ロックマンはロンナの両肩を強く掴んで、そして、

「ロンナ、ちゃん……ロンナちゃんっ! ロンナぢゃんっ!! 熱斗くんが、熱斗ぐんがぁっ!!」

潤んだ両目から大粒の涙を流し、可愛らしい少年の声を泣き声で僅かに濁らせながら、叫ぶ。

「熱斗くんが死んじゃっだんだよぉぉぉおお!!」

ロンナの肩を掴んだまま、ロックマンはその胸に縋るようにして号泣し始めた。
予想内の展開に、来斗は困ったような呆れたような顔で頭を掻き、ロックマンジュニアは困り顔の来斗と泣きじゃくるロックマンを交互に見ながらオロオロとする。
だがやはりその原因になったロンナは落ち着いたもので、特別驚いた様子も無く穏やかな無表情でロックマンをしばし見詰めた後、何を言う訳でもなく右手をロックマンのメットの上に手を置いて、メット越しにロックマンの頭を優しく撫で始めた。
するとロックマンは何故か一層激しく泣き出し、ロンナの胸に崩れるように縋りつく。

「わがってだけど! わかっでだけどぉ!! 無理だよぉぉお!! 耐えられないよぉっ!!」

ロンナは泣き叫ぶロックマンに対し、厳しい事も優しい事も一切言わず、ただ右手でロックマンの頭を撫で、左手で軽く抱擁した。
そしてその途中、困り顔で二人を見ていた来斗にチラリと視線を向けると、音は出さず口の動きだけで、任せて、と伝える。
その口の動きで、どうやらロンナは熱斗が死んだ事を知っていて、ロックマンの相手は自分が引き受けると言っているのだと気付いた来斗は、ロックマンジュニアと顔を見合わせてからそっと研究室を後にした。
来斗には、ロックマンの相手だけでなく、メイルやロールの心のケアや、それ以外にも病院との細かな連絡、それから葬儀の手配、更には科学省全体でこの事実をどう捉えるかを決める等の仕事も残っているのだ。
だから、来斗はロックマンを独り研究室に残して先に社会のシステムからくる仕事を終わらせるか、それともそれを後回しか人任せにしてロックマンのフォローにまわるかを迫られていたのだ。
それならロックマンを連れてそれらの仕事に向かうというのはどうなのだ、と思う者もいるかもしれないが、それが今のロックマンにとっては何より酷だという事を、来斗はよく分かっている。

研究室を出て廊下を歩きながら、来斗は病院でのロックマンの取り乱しぶりを思い出す。
熱斗の容態がいよいよ危ないとなった時、ロックマンはすでに泣き顔で、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、と繰り返しながらその合間合間に、お願い目を開けて、起きて、起きてよ、起きて煩いって言って、僕の名前を呼んで、おはようロックマンって言って、起きてよ、等とも繰り返していたのを、来斗は一生忘れられないと感じた。
そしてついに熱斗の心臓が動きを止め、脳もその他内臓も機能を停止した事を知らせるアラームが鳴った時、ロックマンは言葉にならない声で狂ったように泣き叫び、床を殴りつけていた、その姿を思い出すと、はたしてネットナビに人間と大差のない人格がある事は良い事なのかどうかを来斗は疑ってしまう。
アップデートを続ければ永遠に生きていられるかもしれないネットナビと、長くても百年前後で必ず死が訪れる人間。
祐一朗、はる香、熱斗と既に三人の家族を見送ったロックマンは、後何回家族を見送ればいいのだろう?
もしかしたらこの先ロックマンは、メイルや来斗以外にも、来斗が残した子孫や、そのまた子孫まで見送らなければならず、その上で永遠の命を生き続けなければいけないのかもしれない、と考えると、自分だったら耐えられないだろうという思いが来斗の胸に自然と湧き上がってくる。

そんな事もあって、来斗はロックマンを病院との連絡や葬儀の手配、科学省での会議に連れまわすという選択は端から除外していたのだ。
だがそうすると、やはり選択肢はロックマンの傍にいるか仕事を優先するかの二択になってしまい、来斗はどうにもできず右往左往していたのだが、そこに突然現れたのが、ロンナにロックマンの相手をしてもらうという第三の選択肢だった。
正直、ロンナに任せるのは不安が無い訳ではないが、誰もいないよりは幾許かマシだろう、と来斗は考えている。
それに、ロンナはオペレーターとの死別をもう二十年以上前に経験しているのだ、それなりに配慮はできるだろう、という期待も若干あった。
とはいえ、ロンナの事だ、普通の人やナビがするような配慮はしないで、どこか突拍子もない配慮をするのだろう、と思うと、どうにも微妙な気持ちにならない事も無い。
そんな事を考えながら、来斗はズボンのポケットからPETを取り出し、先ほど届いた病院からの連絡メールを開いた。


一方、来斗の研究室のパソコンの電脳の中のロックマンとロンナは、ようやくロックマンの泣き声が弱くなってきたところだった。
叫ぶような鳴き声はヒクついた嗚咽に変わり、慟哭は寂しげな呟きに変わる。
ロンナはその全てを肯定も否定もせずただ受け止めていた。
やがて、ロックマンはひとしきり泣き終えたのか、それまで縋っていたロンナの胸から顔を上げる。

「ごめっ、でもっ、僕っ、哀しくて……」

どうやらロックマンは突然縋りついて大泣きした事を謝っているらしい。
確かに、ロンナがロックマンの涙の訳を知らなかったり、そもそも此処にきたナビがロンナでは無かったなら、ロックマンの叫びは理解しがたいものだったかもしれない。
だがロンナは特に怒る事も無ければ嫌そうな顔をする事も無く、もう一度ロックマンの頭を撫でながら微笑んで、

「別に謝らなくていいよ。」

と言った。
ロックマンはそれが少し意外だったのか、僅かにきょとんとした表情になり、結果的にほぼ泣き止み、遠くを見ている訳ではない目で、しっかりとロンナを見つめ返した。
するとロンナは何処からかタオルハンカチとしてプログラムされたデータを取り出し、ロックマンの頬に残る涙を優しく拭き取ってから、いつも通りの調子で言い放つ。

「じゃ、少しインターネットシティにでも行こうか?」

それはまるで何事も無い平常時に友人を遊びに誘うような言葉で、ロックマンは一瞬何を言われたのか分からなかった。
もしもこれを他のナビや人間が見ていたなら、ロンナは非常識な思考のナビだと思った事だろう。
ただロックマンは、ロンナの表情や目を見て、そこに悪意は無い事自体は感じ取ったので、露骨に嫌がろうとは思わなかった。
しかし、泣きはらした顔と不安定な心で外に出るのは少々恥ずかしいし恐ろしい。

「で、でも僕こんな顔だし……それに、また、いつ泣いちゃうか分からないし……。」
「顔はすぐ治るし、泣きそうになったら此処に戻ってくればいいだけだよ。ほら、行こう?」

躊躇うロックマンに、ロンナは笑顔で右手を差し伸べる。
ロックマンはまだ若干躊躇っていたが、ロンナの押しに負けたのか、差し伸べられた右手に自分の右手を重ねた。
その瞬間、ロンナはロックマンを連れてインターネットシティへのワープ動作を行い、二人の視界に映るのはパソコンの電脳世界よりももっと広大で現実世界を何処となく模してあるインターネットシティへと切り替わった。
現実世界より鮮やかな青い空に突き刺さるシルバーのビル群は、その高さ以外はロックマンとロンナのオペレーター――熱斗と未彩が小学生だった頃とあまり変わり無い。

「んー、久々!」

ワープが完了し、ロックマンの右手から手を離したロンナが大きく背伸びをする。
その言動からロックマンは、ロンナが此処しばらくインターネットシティには来ていなかった事を察した。
それから、そういえば自分もインターネットシティを訪れるのは久しぶりだという事にも気が付く。
熱斗が若かった頃は、ロールやガッツマン達と一緒にオペレーター無しでインターネットシティに来る事も多かったロックマンだが、此処一、二年は熱斗の体調が常に気にかかって、熱斗の傍を離れる事など考えられず、インターネットシティも数ヶ月に一度、熱斗と通信を繋げた状態で訪れるかどうかという状況になっていたのだ。
それが今、ロックマンははロンナと共にオペレーターのいない状態でインターネットシティの中にいて、それはつまりもう熱斗の体調を気にする必要性が無くなってしまったという事で、ロックマンの胸に熱斗を失った哀しみが再び込み上げてくる。
少しでも気を緩めたらまた泣いてしまいそうな予感がして、ロックマンは咄嗟にロンナの左手を自分の右手でつかむ。

「ん?」

手をつかまれた事に気が付いたロンナが、どうしたの? と言いたげな表情でロックマンに顔を向けてきた。
ロックマンはそれに対してきょとんとした表情を返してしまったが、数秒後に自分の右手を見て、自分が何をしたからロンナが自分に振りむいたのかに気が付いて焦り、手を握るという行為に対する言い訳を必死に探し始めた。

「あっ、えっと、その……あの……」

言い訳を探しつつも、ロックマンの右手はまるで親とはぐれる事を恐れる子供のようにしっかりとロンナの左手を握っている。
ロックマンは、ロンナの手をいきなり握った事を恥ずかしい事、失礼な事だと思いつつも、その手を離す事を自分の行動の選択肢に入れていなかったのだ。
しかし、だからといって手を離さない事を正当化できる言い訳を見つける事のできないロックマンは、しばらくしどろもどろに何か言いかけた後、視線を床に落としながらようやくロンナの左手を離そうと、自分の右手の力を抜きはじめる。
だが、その瞬間、今度はロンナが左手に力を入れて、ロックマンの右手を握ってきた。
ロックマンが驚いて顔を上げ、ロンナの表情をうかがうと、ロンナはいつも通りの明るい笑顔をロックマンに向けている。

「ロックマン、噴水のある広場まで行かない?」
「えっ、あ……」

ロンナの言動は何処までも普段通りで、この世で一番大切なオペレーターを失った後のナビに対する態度には見えない。
だからロックマンは、どうしてロンナはこんなにも普段通りで、一緒に悲しむ事はおろか、気遣いの一つもしてくれないのかと、少しだけ不満に思ってしまった。
さっきは離したくないと思ったロンナの左手も、今はすぐにでも振り解いてしまいたい。
当たり前と言えば当たり前で、仕方ないと言えば仕方ないその不満は、ロックマンの表情をいつの間にか少し不機嫌そうなものに変えてしまい、顔を上げたままのロックマンはその不満げな表情をロンナに見せてしまっていた。
だが、ロンナはそれでも尚笑顔を崩す事も、ロックマンの手を離す事も無い。
寧ろ、ロックマンの表情が不安定になればなるほど、ロンナの表情は何故か明るさを増しているようにすら見える。
その笑顔は悪意こそ感じられないが、それ故に酷く苛立たしくて、ロックマンは、ロンナは此処まで相手の気持ちが分からないナビだっただろうか? と疑問に思う。
しかし、

「現実世界、今日は晴れで良かったね。」
「えっ?」

ロックマンがロンナに対する不信感に支配されかけた時、ロンナが急にそれまでとは少し違う落ち着いた声音で言った。
突然話を振られたロックマンは、やはりロンナが何を思ってそんな事を言ったのかが分からず、困惑していて短い返事しかできない。
それまで感じていた不信感さえ吹き飛ばされた状態でロンナを見ると、ロンナはそっと視線をロックマンから逸らし、まるで来斗と会話をしていた時のロックマンのように遠くを見て、

「未彩が死んだ日は、酷い雨だったから。」

と言った。
世界の果てでも探すかのように、メインストリートの奥をぼんやりと眺めながら、薄らと微笑んだままのロンナの表情は全体的に陰りがあって、それを見たロックマンは、ロンナよりも自分の方が何かを間違えていたのではないかという不安に駆られる。
熱斗の死があまりにも哀し過ぎて忘れていたが、ロンナもまたオペレーターを失ったナビの一人である事を、ロックマンはこの時やっと思い出したのだ。
それを思い出すと、ロンナに自分の気持ちは分からないのだろうと思い始めていた自分が急に恥ずかしくなって、先ほどの苛立ちとは別の意味――相手の気持ちを想像できなかったのは自分であり、そんな自分にロンナの手を握っている資格など無いという意味で、ロンナの左手を離さなければいけない気がしてくる。
ロックマンは一度自分の右手とロンナの左手に視線を向けてから、もう一度ロンナの表情を窺った。
するとロンナはそれに気付いたようで、一瞬にして陰りを振り払うように明るい笑顔を取り戻し、ロックマンに視線を合わせてきて、

「さて、それじゃあ広場に行こっか!」

と明るい声音で言って、ロックマンの右手をしっかり握ったまま歩きだした。
ロックマンは戸惑いながらも、ロンナに引っ張られるようにして歩きだす。
歩きながら、ロックマンは横目でロンナの表情を窺った。
ロックマンを軽く引っ張るようにして歩くロンナの表情には、先ほど一瞬見えた陰りはもう無く、インターネットシティに来てすぐの時のような、いつも通りの明るい笑顔だけが残っている。
その笑顔があまりにも爽やかなので、ロックマンは、あの陰りは自分の見間違いだったのだろうか、とすら思ったが、その陰りが見えた瞬間にロンナが口にしていた言葉を頭の中で再生する事でその思いを打ち消した。
もしも、ロンナが未彩の死を全く気に病まず、気に留める事も無かったなら、未彩が死んだその日の天候などもうとっくに忘却しているはずだろう。
それなのに、その日の天候を明確に覚えているという事は、未彩の死はロンナに何らかの傷痕を残している、そう考えていいはずだ。
勿論、単にロンナの記憶性能が一般のナビよりもずば抜けて高く、特に気に留めずとも忘れられない設計だという可能性もあるにはあるが、もしそうだとしても、本当に気に留めていないのなら、その日の事を二十年以上経った今になってこちらに伝える必要などありはしない。
そう考えると、ロンナの爽やかで明る過ぎる笑みは飽く迄も本当の感情が現れた表情を隠す仮面のようなもので、その下では今の自分と同じぐらいに深く暗い未彩の死への哀しみが、熱斗の死を伝えた自分の言葉が引き金となって再度渦巻いているのではないか、という気がしてきて、ロックマンは心底落ち着かない気持ちになっていく。
もしかしたら自分の言動は、一度は治ったはずのロンナの胸の見えない傷を再び抉ってしまったのではないだろうか? という不安がロックマンの思考を支配し始めていたのだ。

「あ、あのっ、ロンナちゃんっ、」

自分がこのままロンナの傍にいるのはあまり良くないのではないだろうか、と思ったロックマンは、これ以上ロンナの古傷を抉る前にロンナから離れる為、思い切ってロンナに話しかけてみた。
話しかけられたロンナは広場に向けて動かしていた足を止め、至って明るい表情のまま振り向き、小さく首を傾げながら短い返事をする。

「ん?」

ロックマンに視線を合わせるロンナの明るい表情は飽く迄も自然体で、仮面と呼べるような作り物の笑みには見えない。
だが、自分がロンナの古傷を抉り、ロンナに嘘の笑顔を浮かべさせているのかもしれないと思っているロックマンには、ロンナの明るい笑顔は逆に不自然にも思えた。
例えば、実際の花よりも精巧に作られた造花が存在するように、本当の笑顔よりも笑顔らしく浮かべられた作り笑顔があったとしてもおかしくは無い訳で、ロンナの笑顔はまさに、本物より本物らしく作り上げられた笑顔なのではないかとロックマンは思うのだ。
それに、未彩と出会う前は祐一朗の持つパソコンに幽閉されていたと言ってもおかしくない状況だったロンナの事だ、周囲を安心させる為の作り笑顔はお手の物だろう、とも思う。
だから、その笑みの下に隠された感情がどんなものなのか、考えれば考えるほど申し訳なく――否、怖くなる。
ロックマンは、笑顔で振り向いたロンナに何を言えばいいのか分からず、言葉を詰まらせた。

「えっと、さ……」

自分から声をかけておきながら、ロックマンはそれっきり沈黙して俯いてしまう。
二人の周囲は昔と変わらず多くのネットナビがいて騒がしいが、二人の間にだけは長い静寂が訪れようとしていた。
何か、何か言わなければいけない、何か言って、ロンナに手を離してもらわなければいけない、という自分の考えが変わっていない事はロックマンにもよく分かっていたのだが、それでもロックマンはその為の言葉を見つける事ができない。
どうしよう、どうしたらいいんだろう、とロックマンは焦る。
すると、

「私が笑ってるの、そんなに不思議?」

沈黙してしまったロックマンの代わりだと言わんばかりに、ロンナがそう言った。
ロックマンは驚いて顔を上げ、ロンナの顔を見る。
ロックマンの視線の先のロンナは、優しく微笑んでいるように見えない事も無かったが、ロックマンはすぐにそれが普通の微笑みでは無い事に気が付いてゾッとする寒気を感じた。
優しく笑うように細められている、ように見える両目は、実際には一切笑っておらず、ロックマンと同じ黄緑色の瞳は普段より細い隙間からロックマンを射抜くように見詰めていて、ロックマンは自分の目を通してロンナの目に自分の頭の中を探られているような気になる。
いやむしろ、頭だけでなく腹から手足から毛髪の一本まで残さず探られるような、あるいは、お前の考えなどお見通しだと言いたげな視線は、先ほど少しロンナに対して不信感を抱きかけていたロックマンに強い恐怖を与えた。
怖い、ロンナが次の言葉を発する瞬間が怖い。

「フフッ、そんなに怖がらなくていいよ。」

ロックマンの感じた恐怖はロンナに筒抜けだったようで、ロンナは射抜くように細めた目からふと力を抜き、小さく笑った。
その笑みは一切の陰りも無ければ先ほどのような鋭さも無いのだが、ロックマンはやはりそれが逆に怖ろしくて仕方がない。
ロックマンの表情は明らかに引き攣っていた。
だが、ロンナはそんな事は関係無いとでも言わんばかりに、笑顔を保ったままで再び歩き出す。
もちろん、ロックマンの手を離したりはしていないので、ロックマンも引っ張られるように歩き出すしかない。
これから何がどうなるというのか、ロックマンは非常に不安な思いでいっぱいだったが、今更逃げる方法も分からないので、仕方なく大人しく連れ歩かれる事にした。

そうして、二人は自分達のオペレーターが若かった頃によく遊び場にしていた広場へ到着し、広場の中心にある噴水が眺められるように設置されているベンチに隣り合って腰を下ろした。
ロンナはそこでようやくロックマンの手を離し、両手を自分の膝の上に置く。
逃げようと思えば逃げられる状況に置かれたロックマンの脳裏に逃走の二文字が過って、ロックマンは少し迷いながら、自分の隣に座っているロンナの表情を窺った。
ロンナは澄ました顔で噴水を眺めているが、その視線は何処か普通とは違う、物憂げな雰囲気を感じさせるもので、ロンナが何を思っているのかを探るように、ロックマンも噴水に視線を向ける。
噴水、水、降り注ぐ水……そこまで考えて、ロックマンはふと先ほどのロンナの言葉を思い出す。

――未彩が死んだ日は、酷い雨だったから。――

もしかしたら、ロンナは噴水を通して未彩が死んだ日の雨を思い出しているのかもしれない。
自分のオペレーターが酷い雨の日に死ぬというのはどういう気持ちなのだろう、やはり晴れの日よりも重苦しい気持ちになるのだろうか?
だとしたら、ロンナはそれをどうやって乗り越えたというのだろう? いや、そもそもそれは乗り越えられるものなのか? 寧ろ乗り越えていいものなのか? とロックマンが考え始めた、その時、

「ねぇ、熱斗くんの最期って、どんな感じだったの?」

ロンナは視線は噴水に向けたままで、ロックマンに尋ねてきた。
ロックマンは驚いて目を見開き、そのまま言葉を詰まらせる。
熱斗の最期、それを意識した途端、白い病室と、その中の白いベッドと、そのベッドに横たわる老いた身体と、その身体に繋がれた何本もの管と、自分の青い両手の中で力無く開かれたままのやせ細った手が合わさった映像が頭の中を駆け抜けて、一度は落ち着いたように思えた哀しみが溢れだしてきてしまったのだ。
胸が苦しくなって、視界が歪む。
思い出したくない、熱斗がこの世からいなくなってしまった瞬間など、思い出したくはない。
それなのに、何故ロンナはその様な事を訊くのだろう? ロックマンには分からなかった。
溢れて止まらない哀しみが生みだす苦しみから滴る苦みは、哀しみを思い出させたロンナへの苛立ちに形を変えて、ロックマンは自分の膝に視線を落としながら、少し威圧するような声でロンナに尋ね返す。

「……なんでそんな事訊くの。」

するとロンナは噴水から視線を外し、ロックマンの方に向き直ってから答えた。

「記憶を鮮明にするためだよ。」
「……は?」

ロンナの返答に、ロックマンは反射的に更に威圧的な返事をしながら顔を上げ、ロンナを睨みつけた。
その表情からは、ロンナはなんて無神経な言動をするナビなのだろう! という苛立ちが明らかに見て取れるが、ロンナはそれを見ても一切動じる事はない。
ただ薄らと微笑んだままの顔を向けてくるロンナが非常に腹立たしくて、ロックマンは声を荒らげた。

「なんでっ、なんでそんな事しなきゃいけないんだよっ!! 僕は、熱斗くんのあんな、あんな姿なんてっ、熱斗くんが、もうこの世界にいない事なんて、そんなの!!」

周辺で散歩やデートを楽しんでいた赤の他人のナビ達が、ロックマンの怒声に驚いて立ち止まり振り向く様子は、ロックマンには見えていなかった。
今この瞬間のロックマンにとって重要だったのはそれよりも、ロンナの発言と表情の真意なのだ。
もし、半端な気持ちでそんな事言っているなら、あるいは熱斗の死をネタに自分をからかって苦しめて遊んでいるだけならば赦さない、という怒りが、ロックマンの感情を突き動かしていた。
しかし、それを見ても尚ロンナは一切動揺する事も、困惑する事も、申し訳なく思っているような顔をする事も無く、頬笑みを絶やさない。
だが、やがてロンナはその微笑みに、薄らと憂いに似た陰りのベールを被せてから、言い放った。

「じゃあ、ロックマンは熱斗くんの歴史を、一部棄てちゃう訳だ?」
「なっ……!?」

謝罪でも言い訳でもない、予想外の発言に、ロックマンの表情が驚愕に歪んだ。
自分が熱斗の歴史を棄てているとはどういう事か、この世界で自分が誰よりも深く熱斗の死を悲しんでいると思っているロックマンには分からなかったからだ。
ロックマンは、ロンナが何を言っているのか分からない、自分は熱斗を構成する要素を一つたりとも棄てた事はない、と言いたげに、歯を食いしばってロンナを威嚇する。
すると、ロンナは物憂げな頬笑みを深めながらロックマンから視線を外し、その視線を再び噴水に向けて、それから、ゆっくりと語り出した。

「私はね、全ての生き物の一生は、歴史は、物語は、誕生後から死ぬ手前だけじゃなくて、受胎の瞬間から出産までや、死に様も含めて成り立つものだと思ってる。それで死に様はね、その人の物語のエンディングで、エンドロールだと思うんだ。だから、それをしっかり覚えておかないっていうのは、その人の物語を最後まで見ないとか、最後だけ棄てちゃうとか、そういう事と一緒なんじゃないかって、私は思ってる。だからね、私はちゃんと覚えてるんだ、未彩が死んだ時の事。まぁ、特に未彩は、私が覚えておかないと、他に覚えておいてくれる人なんて、いないしね。」

最後の方は少し笑って言ったロンナだったが、ロックマンは今度はそれに苛立ちを感じたり、憤りを感じたりはしなかった。
寧ろ、自分よりもずっと早くにオペレーターを亡くして、それでも尚一人でその記憶を抱えて強く生きてきたロンナを、哀しいほど眩しいと感じて、ロックマンの表情から緊張が抜けていく。
此処に至ってようやく、ロックマンは、ロンナの今までの言動が意味の無いものや悪意に満ちたものではなく、全てそこ――大切な人の終わりから目を逸らしてはいけないという話――に収束するのだと理解したのだ。
ロックマンが落ち着きを取り戻すと、ロンナは再びロックマンに視線を向けて、話を続ける。

「だからさ、ロックマンも覚えておこうよ、熱斗くんの最期がどんなだったかを。熱斗くんの物語のエンディングを。例えこの世の全ての人が熱斗くんを知らない時代が来ても、自分は熱斗くんを覚えてるって胸を張って言えるように……まぁ、熱斗くんは有名な科学者だったし、知識上でなら人類が滅びない限りは誰かしらの記憶に残るとは思うけど、でも、やっぱり、等身大の熱斗くんを覚えておけて、この先もずっと生きていられるのは、ロックマンだけの特権だからね。」
「僕だけの、特権……。」
「そう、誰よりも熱斗くんの傍にいた、ロックマンだけの特権で、熱斗くんとの友情の証。だから、哀しくても、辛くても、棄てちゃ駄目だよ。哀しいのは、辛いのは、ロックマンがそれだけ熱斗くんを大切に想ってる証拠なんだから。」

ロンナは憂いの陰を脱ぎ捨てて、普段通りの明るい笑みを見せた。
その笑みにロックマンが苛立ちを感じる事はもう無い。
それどころかロックマンは、それまで自分に纏わりついていた重い空気が霧散していって視界が鮮明になるような、清々しい衝撃を受けていた。
全ての生き物の一生は死に様も含めて成り立つもので、哀しみや辛さはロックマンが熱斗を大切に想っている証拠なのだと言ったロンナの言葉が、ロックマンの意識を徐々に変えつつあるのだ。

ロックマンはそっと目を閉じ、呼吸を整える。
瞼の裏に思い浮かべるのは、熱斗が死を迎える直前の事。
真っ白い壁でできた病室の中心、真っ白く清潔感のあるベッドの上には、年老いた熱斗が横たわっている。
そのベッドの脇で車椅子に座り、寂しげな表情を見せているのは年老いて足腰の弱くなったメイルだ。
そのすぐ隣で普通の椅子に座りながら、メイルが自分の膝の上に乗せている手に自分の手を重ねているのはコピーロイドに入ったロールで、来斗はメイルの座った車椅子のすぐ後ろにいた。
来斗の隣にはコピーロイドに入ったロックマンジュニアが不安げな表情で立ち尽くしていて、メイルや来斗、近くで待機している看護師達の顔を見まわしていた。
そして、ベッドのすぐ傍で、ベッドの柵の間から青い手を伸ばし、老化によってしわだらけになった熱斗の手を極力弱い力で握りながら、熱斗の心拍数や血圧、脳波を表示したモニターを時より見詰めて震えているのはコピーロイドに入った自分だ。
老いただけでなくやせ細った熱斗の姿を思い出すのはロックマンにとって酷く辛い行為で、ロックマンは一瞬その光景から目を逸らすように瞼を開いてしまおうとしたが、死に様はその人の物語のエンディングだというロンナの言葉を思い出して耐える。
最後の一秒まで思い出せ、と自分に命じ、ロックマンはその先――熱斗の死の瞬間と、その直後の事――を思い出す。
すると、ベッドの周囲に置かれた医療機器のモニターに映る熱斗の心拍や血圧、脳波を示す数字が全てゼロになったその瞬間、自分が絶叫するよりも少しだけ前に、メイルが呟いていた言葉が脳裏に蘇ってきた。

――お疲れ様、熱斗……。――

嗚呼、そうだ、自分が叫び出す直前、メイルは熱斗にお疲れ様と労いの言葉をかけていたのだ、と思い出して、ロックマンはただ滅茶苦茶に叫ぶ事しかできなかった自分を少し恥ずかしく思った。
そして、決意する。
きっと明日か明後日には、通夜や葬儀が執り行われるはずで、その時にもう一度、最後に熱斗に会えるはずだから、その時は、その時はただ泣き叫ぶのではなく、メイルがやったように労いの言葉と、それから感謝の言葉をかけよう、と。
そして、熱斗の最期の顔を、一ビットも忘れないようにしっかりと記憶に焼き付けよう、とも。

ロックマンはもう一度呼吸を整えてから、ゆっくりと目を開く。
ロンナはロックマンが何をしていたのか察していたようで、ロックマンが視線を向けると優しい眼差しを返しながら頷いてくれた。
それはロックマンが熱斗の死と向き合う勇気を後押ししてくれているようにも見える。
だからロックマンは、少し恥ずかしそうにはにかむと、

「ロンナちゃん、ありがとう。」

と言った。
その拍子に、ロックマンの両目から涙が零れおちて、ロックマンは焦ってそれを腕で拭う。
その様子を見たロンナは、最初に来斗の研究室へロックマンに会いに来た時のように、ロックマンの頭をメット越しに優しく撫でながら言う。

「今は我慢しなくていいよ。いつか、その哀しみも大切に思えるようになる日が来るから。全部抱えて、それでも進める時が来るから。」

その言葉を合図にしたかのように、ロックマンの表情は哀しみに歪み、再びロンナの胸に縋りついて小さくすすり泣き始めた。
熱斗の最期としっかり向き合う決意をしても尚、ロックマンの抱える哀しみは晴れるものではない。
そう、この哀しみはこの先何年、何十年、何百年経とうと晴れるようなものではない、それをロンナは知っている。
だからロンナは、まるで赤子をあやすかのように片方の手でロックマンの頭を撫でながら、もう片方の手でロックマンの背中をさすり、何を言うでもなくそのまま傍に留まり、ロックマンの哀しみを受け止める事に徹した。
一つの物語――熱斗の人生――の終末の先に、ロックマンがもう一度、熱斗が歩けない時間の分まで、歩く事ができるようになるように。


その後、来斗やメイル、ロールやロックマンジュニアと共に熱斗の通夜、葬儀に出席したロックマンは、会場の外からロンナに見守られつつ、熱斗へこの様に告げたという。

「熱斗くん、お疲れ様、今までありがとう。僕、熱斗くんの事、全部、ずっと忘れないからね。」


end.

◆◇

またも久しぶりになってしまった欠片は、前々から密かに考えていた、オペレーターの死後のネットナビ達の話の一部。
最初は、ロンナの考えはもっとドライにするつもりだったのだが、気が付いたらなんだかまともな考えにまとまっていて正直驚いた。
気が向いたらロンナが未彩の死に様をロックマンに話すバージョンや、ロールが主人公のバージョンも描きたいな、と思わない事もないとか。
ちなみに俺の中では、熱斗は普通の男性の平均より長く生きるが、未彩は女性の平均どころか男性の平均にも届かないうちに死するという設定があるとかなんとかで、多分未彩の死に様は俺の死に様の予想じゃないかなぁとかなんとか。
なんたって俺は非リア充だから、親が死んだらもう誰も等身大の俺の最期を覚えておいてなんてくれないんだよなぁ、と、少し遣る瀬無くなったとかなんとか。

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