他三国志書

□雪の思い出
2ページ/4ページ

「もういい。次は気を付けろ」
「分かりました」
「惇、目を閉じろ」
 言われた通り、目を閉じる夏侯惇の頬を撫で、唇を合わせ、離れた。
「やはり、私にはお前だけだな」
 夏侯惇は、不思議そうにはしていたが、ただ、優しく嬉しそうにはにかむだけだった。




 美味しそうに酒を飲む夏侯惇に、曹操は口元を緩める。
 見ているだけで、お腹がいっぱいになるような気がして、曹操は気分が良かった。
「今日はどうして早く帰ってきた?誰かに頼んできたのか?」
「はい。雪の関係もあり、後を継ぐものが早めについたので、ある程度教え、馬を走らせ帰ってきてしまいました」
「雪が降る前に行動したのか」
「丞相、いけませんでしたか?」
「そんなことはない。この状態では、正しい判断だ」
 外は雪がつもり、進行は困難な状態だ。
 どちらの判断も、正しかろう。
「丞相……昔、雪ウサギ作りましたよね」
「そうだったな」
 雪ウサギを作り、夏侯惇に見せ、それから何匹も作ったのだ。
 雪で作ったのに、一匹じゃ可哀相で寒いといって何匹も作る幼い夏侯惇が可愛くて、ついつい何匹も作ってしまった。
 家だといって、かまくらまで作ったことも思い出し、曹操は笑った。
「懐かしい」
「丞相、優しくて、つい甘えてしまいました」
 一人で寝るのは寒いし寂しいと、曹操の寝床に潜り込んできたこともあったか。
 可愛い夏侯惇に、つい下半身が危なくなったことも多かったと、思い出し、苦笑する。
「お前がねだって、寝台を供にしたこともあったな」
「……女たちが、羨ましかったのです」
「……惇?」
「たまに遊びにいくと、当然のように丞相の側にいて、床を供にする女たちが」
 大分酔っているのか、夏侯惇は饒舌だ。
 そういえば、よく床に入りたがったのは、夏侯惇が思春期真っ盛りのころだった。
「お前……あの時人恋しいと……」
「丞相に抱かれてもよいとまで考えていたのです。女の代わりでも……」
 ぽろぽろと泣き始めた夏侯惇を抱き締め、曹操は昔の自分を呪った。
 まだ幼く甘えているだけだと思っていた夏侯惇は、当時どんな心地でねだっていたのだろう。
 そんな心境に気付かず、平常心を保とうとしていたあの頃の自分がいやになった。
 惚れ込んだ相手に想われているとも考えず、女を抱いていたことも腹が立つ。
 素直に伝えていれば、どれだけ夏侯惇の心を救ってやれたか。
 今になっては、後悔しか残らない。
「あの時気付かなかった分、これから取り戻していってもよいか?」
「はい」
「お前を抱きたい。お前じゃなければ駄目だ」
 優しい声に、夏侯惇は頬を染め、曹操に身を任せた。




 寝台の上で息を乱す夏侯惇に、曹操は欲情した。
 胸を煽るだけで、高い声を出す夏侯惇は、余裕がなさそうに眉を潜めた。
 それは、曹操にも言えることで、どちらも情事は久方ぶりのことだからだ。
「……お前の体は、綺麗だな」
「そんな、こと……あっ」
 かりっと胸の突起を軽く噛むと、夏侯惇の体が大きく跳ねた。
 涙を浮かべた瞳に笑いかけ、ゆっくりと手を下へと持っていく。
「じょぅ、しょ……」
「気持ちいいか?」
 すでにそそり立ち先走りの液を漏らすそれを軽く抜くと、たまらず名を呼ぶ夏侯惇に、曹操は囁いた。
「も……やめっ、あ……」
「……惇、可愛い」
 軽い愛撫に悶え、涙を流す夏侯惇にたまらなくなり、曹操は陰茎をくわえ、軽く歯を立てた。
「ひ、やぁぁぁっ!」
 その刺激に我慢できず、夏侯惇ははて、ぐったりと肢体を投げ出した。
 口の中に放たれたものを味わうように飲み込み、曹操は太股に所有の印を残した。
「……もっと気持ち良くしてやろう。時を忘れるぐらい」
 今が乱世だと忘れるぐらい、快楽に溺れる夏侯惇を感じてみたい。
 そう思い、夏侯惇の足を広げ、奥の蕾に口付けた。
「あ、やぁ……」
 舌を伸ばし、広げるように舐めると、夏侯惇は体を捩って逃げようとする。
 何度やっても、慣れないらしい。
 それが、たまらなく興奮することを夏侯惇は知らない。
 指を差し入れ、慣らしていく曹操を止めるように、夏侯惇は手を伸ばし、曹操は頭を押した。
「ふぁっ、あ、あぅ」
 ぐちゅぐちゅという音を立て、中を擦られる感触に、夏侯惇は声を上げて曹操の髪を乱した。
「……余裕がない……」
 呟き、指を抜き取り、曹操は夏侯惇に口付けた。
「いいか?」
「……はい」
 とろんとした瞳を向け、うなずく夏侯惇を安心させるように微笑み、自身を夏侯惇の中へ進ませた。
「あ、あ……っ」
「惇、大丈夫か?」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ