2・六道骸



「こんにちは」

本屋で物色をしていたら綺麗な男子に声をかけられた。
知らない制服でつんつんと後ろ頭から髪が逆立つ様な見たこと無いヘアスタイルの子。

それから左右色違いの瞳。
あんまり綺麗だからつい言葉が零れた。

「ガーネットとサファイアみたい」

「クフフ。ありがとうございます」

笑った顔はどこかぎこちなくて、寧ろくしゃりと歪んだ気がした。
胸が痛むような顔で彼は笑ったのだ。

「君に、興味があるのですが」

唐突な告白。
間近に感じる気配に体が硬直した。

「どういったご用件でしょうか」

至って冷静に努める。マルチなアレか、若しくは…

「クフっ。どちらも違いますよ」

「じゃあ、どうして」

「一目惚れ、ですかね」

見上げた男子は綺麗に笑っていた。今度は心臓が跳ね上がる。
こんな笑い方されたら狡い。

「な、名前すら知らないんです、が」

「えぇ、これから知ってもらいます」

じり、と距離が縮まる。

「出身地も、趣味も」

「それもこれから、ですよ」

じり、じり。
あと数センチで唇が触れ合う。
どうしようもなくて俯いた。

「君が欲しいんです」

熱っぽく囁かれ、次に不思議な男子を見た時には赤と青の瞳に閉じ込められていた。


多分、もう逃げられない。
彼の瞳に惚れたのは何より自身だからだ。






Thank you!


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