ゲレゲレ冒険記 外伝
□出会い 〜 Side ドラきち 〜
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俺様はドラキーのドラきち様だ。
はっきり言って、現在ピンチだ。
俺様とした事が、ちょっとしくじって翼に一撃喰らっちまった。
後ろからは、俺様の翼を傷付けた骸骨兵が迫って来ている。
チクショウ、何でこんな目に……。
俺様はヨタヨタと飛びながら、数時間前の事を思い返した。
―――数時間前。
俺様は普段、アルカパっつー人間の町近くの森に暮らしている。
しかし、この時は仲間内で度胸試しをする事になり、サンタローズとか言う人間の村に来ていた。
村には人間の気配は無く、ひっそりとしている。
「兄貴〜ホントに行くんですか〜?」
仲間の一人が情けない声を上げた。
「当たり前だろ。何だよ、ここまで来て怖じ気づいたのか?」
俺様が言うと、そいつは、だって…とか小さな声でゴニョゴニョ言い出した。
別の仲間が、村を見渡しながら呟く。
「それにしても……この村、何があったんだろ?」
村は…いや、もう村とは呼べないだろう。
かつて村だった場所は、家屋の焼け跡と、枯れ果てた畑しか残っていなかった。
「昔、人間同士のいざこざで滅ぼされたらしいぜ」
「へぇ……」
元々、俺様の一族はこの村の奥にある洞窟に住んでいたらしい。
らしい。と言うのは、俺様が生まれる前の話で、親父達に伝え聞いただけだからだ。
親父の話だと、ある日突然、人間の村が焼き払われ、それと同時にそれまで洞窟には居なかった、好戦的な魔物が押し寄せて来たのだそうだ。
それまで洞窟に住んでいた、トゲ坊主や蝉モグラ、一角兎達はさっさと逃げ出し、ドラキー一族も慣れ親しんだ住みかを離れる事になったとか。
洞窟は今や、腐った死体や骸骨兵、アウルベアーと言った好戦的な魔物の巣窟と化している。
そこで、俺様達3人は、元々の住み処を度胸試しを兼ねて見に来たのだ。
「やっぱ、辞めましょうよ〜」
洞窟の入り口まで来た所で、再び一人が怖じ気づく。
俺様はため息を付いて言った。
「……なら、お前一人でここで待ってるか?」
「まっ、洞窟には飛べる魔物は居ないらしいから大丈夫だろ」
「そうそう」
もう一人の楽天的な言葉に、俺様も頷くと、暫く悩んだ挙句、付いてきた。
一人、残されるのも嫌らしい。
「うぅ……」
「で、どっちに行く?」
仲間の言葉に俺様は洞窟の中を見渡す。
洞窟からは湧水だろうか、村に向かって川が流れていた。
入り口の少し先で、川と道が別れている。
人間ならば道を選ぶしか無いだろうが、俺様達には関係無い。
俺様は少し考えて答えた。
「そうだな……。川を辿ってみるか」