ゲレゲレ冒険記 外伝

□出会い 〜 Side ドラきち 〜
1ページ/6ページ

俺様はドラキーのドラきち様だ。

はっきり言って、現在ピンチだ。

俺様とした事が、ちょっとしくじって翼に一撃喰らっちまった。

後ろからは、俺様の翼を傷付けた骸骨兵が迫って来ている。

チクショウ、何でこんな目に……。

俺様はヨタヨタと飛びながら、数時間前の事を思い返した。



―――数時間前。

俺様は普段、アルカパっつー人間の町近くの森に暮らしている。

しかし、この時は仲間内で度胸試しをする事になり、サンタローズとか言う人間の村に来ていた。

村には人間の気配は無く、ひっそりとしている。

「兄貴〜ホントに行くんですか〜?」

仲間の一人が情けない声を上げた。

「当たり前だろ。何だよ、ここまで来て怖じ気づいたのか?」

俺様が言うと、そいつは、だって…とか小さな声でゴニョゴニョ言い出した。

別の仲間が、村を見渡しながら呟く。

「それにしても……この村、何があったんだろ?」

村は…いや、もう村とは呼べないだろう。

かつて村だった場所は、家屋の焼け跡と、枯れ果てた畑しか残っていなかった。

「昔、人間同士のいざこざで滅ぼされたらしいぜ」

「へぇ……」

元々、俺様の一族はこの村の奥にある洞窟に住んでいたらしい。

らしい。と言うのは、俺様が生まれる前の話で、親父達に伝え聞いただけだからだ。

親父の話だと、ある日突然、人間の村が焼き払われ、それと同時にそれまで洞窟には居なかった、好戦的な魔物が押し寄せて来たのだそうだ。

それまで洞窟に住んでいた、トゲ坊主や蝉モグラ、一角兎達はさっさと逃げ出し、ドラキー一族も慣れ親しんだ住みかを離れる事になったとか。

洞窟は今や、腐った死体や骸骨兵、アウルベアーと言った好戦的な魔物の巣窟と化している。

そこで、俺様達3人は、元々の住み処を度胸試しを兼ねて見に来たのだ。

「やっぱ、辞めましょうよ〜」

洞窟の入り口まで来た所で、再び一人が怖じ気づく。
俺様はため息を付いて言った。

「……なら、お前一人でここで待ってるか?」

「まっ、洞窟には飛べる魔物は居ないらしいから大丈夫だろ」

「そうそう」

もう一人の楽天的な言葉に、俺様も頷くと、暫く悩んだ挙句、付いてきた。

一人、残されるのも嫌らしい。

「うぅ……」

「で、どっちに行く?」

仲間の言葉に俺様は洞窟の中を見渡す。

洞窟からは湧水だろうか、村に向かって川が流れていた。

入り口の少し先で、川と道が別れている。

人間ならば道を選ぶしか無いだろうが、俺様達には関係無い。

俺様は少し考えて答えた。

「そうだな……。川を辿ってみるか」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ