アブナイ☆恋の捜査室〜Another Story of string〜


□気兼ねなく
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僕の彼女はお寺が実家で、今でも実家から通ってる。
いい加減僕の家から仕事場に通えば良いのに、彼女は僕との休み以外殆どと言っていいほど実家にいる。

家族が大事なのは分かるけど、なんか釈然としない。

そんなある日のこと、朔ちゃんが僕にとんでもないコトを言ってきたお陰で、今現在……とても落ち着けないでいる。



[気兼ねなく]




「ほな、お茶煎れてくるから……気兼ねいらんから、諒はん寛いでてな?」


小笠原
「……なんでこうなった……」




思い返せば数時間前のこと、急に朔ちゃんが家に来ないかと誘ってきた。

どうして呼ばれたのか分からずに、半ば強引とも取れるように朔ちゃんは僕を引っ張ってきたのだ。

今は誰もいないのか、大きな和室に通され座らされる。




「……そんな怪訝に思わんでも、ウチは諒はんを取って食ったりはせえへんよ?」


小笠原
「怪訝に思うでしょ!? しかも食べられるの僕の方なの!?
……明日はせっかくの休みなのに……なんで君ん家で泊まりなのさ……」




額に手を添えて考えていると、朔ちゃんが僕に近づいて隣に座った。
僕より背が低い上に、童顔な彼女に上目遣いで顔を見られる。

……如月……、お前が女子高生とか女子中学生に浪漫を持つって言うけど、朔ちゃんがその歳だったら共感はできるよ。




「……嫌やった? やっぱり祖父ちゃん達とご飯はムリか……」


小笠原
「紅槐寺(こうえんじ)さん達と? そこになんで僕が入るのさ。赤の他人なのに……」




家族と夕食を共にするのは分かるけど、丸っきり他人の僕が呼ばれるのが分からず、僕は彼女を見遣った。




「えー、ちゃうよ。諒はんもウチの家族やよ?
…………あ、もしかしてただ付きおうてるだけで……一緒になるつもりあらへんかった……?」


小笠原
「なんでそうなるの? そんなことない。僕は朔ちゃんと付き合うのは、一生涯共にいたいって思ったからなんだ。
……こんなに誰かを好きになるの初めてなんだよ?」



「諒はん……」




隣に座っていた彼女を抱き寄せて、手を顔に添える。
額がくっつくくらい顔を近づける。



小笠原
「こんなに愛おしくて、幸せを得られるのは朔ちゃんだけだし、結婚したいのも朔ちゃんだけだよ?」



「諒はん……」




彼女は凄く幸せそうな顔をする。
本当……僕って心底このふんわりした顔が好きみたい。



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