短い文

□絶望の中でも
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"カレン、君は生きろ"

死を覚悟しての余裕からか、それとも執着心なのか、そんな言葉が出てきた。

何事にもナナリー中心に考え動いてきた俺が、あのときは君のことを考えていた。
君が未来で屈託のない笑顔を浮かべ生きている…そんな場面が脳裏に浮かんでいたんだ。
ああそうか…だから "生きろ" なんていったのかもしれない。
君がそれを聞いてどう思うかなんか気にせずに。
怒るか?見放すか?…どう捉えて良いか分からず悩むかもしれないな。
…死んでいないと分かれば余計そうかもしれない。
まあそれに関していえば、俺は殺されるつもりだったんだからしょうがないだろ?




自分自身でもまさか生き残るとは。なぁロロ。

ちょっと前には、かなり罵倒してしまったはずだったんだが…。

お前にとって俺という存在は重要だったんだろうが、こっちは捨て駒としか思っていなかった。

だが…お前の命が尽きたとき、心に痛みが走った。それはまるで大事な人が亡くなったときのように。
…いつのまにか口では否定しながらも、お前という存在は俺の大事な人の一人になっていたんだな。
それに気づいたとき自分自身に驚いたよ。

今なら…ロロ、お前を家族と、大事な弟だと素直な気持ちで言える気がする。

ありがとう、ロロ。
お前が繋いだこの命、無駄にはしない。





今この手には、見えるモノなどなにもない。
ナナリー、シャーリー、ロロ、カレン。
黒の騎士団も。
多くの人や力を失った。
どうしてだろうな…
最初は彼女を守るため、ただそれだけだったのに、一人増えまた一人とそれは多くなっていった。

守りたいことが増えればそれに伴って負担も増えることは分かりきっていたはずなのに。

今でも大切で充実した時間だったと思える。

だが戻れない。いや、戻らない。やらなくてはいけないことがある。それを気づかせてくれた君たちに改めて感謝する。
君たちにあげたかった未来を手にするために。


だからこそ…この命をかけ、差し違えてでも。必ず。


END.

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