短い文
□巡る季節と心
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あれから毎年、この日は彼女が来る。
意外に甘い物が好きな、あなたのために。
気持ちを切り替えられない私にとって、彼女は救いだ。これは秘密だけど。
普段は間違ってもあなたのことなんて話せない。
そう、彼女が来るこの日だけしか。
今日はその日。
昨夜から準備を始める、昼前に彼女は来るから。
腹が減った、と毎年同じことを言ってはピザを頼む。
それに呆れつつ、変わりないことに安心を覚える。
それで安堵する私がいるからこそ、彼女は変わらないんではないかと最近になって少し思うときがある。
まあ気のせいだろうけど。
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