長い文
□世界は再び
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悪逆皇帝がゼロに討たれてからちょうど一年経っていた。
当時世界は歓喜した。速やかに各合衆国代表により平和調停が結ばれ、武力から対話へと変わっていった。
しかし全部が全部うまく行くわけでは決してない。
飢餓や貧困、宗教対立によるテロや紛争。
超合衆国連盟は対話を最重視しており、テロの解決は特に難航していた。
小さな不満が徐々に膨れ大きくなる。
各国代表による連盟会議は全世界に放送される。
もちろんゼロも毎回出席していた。
だが発言は少なく基本的に合衆国ブリタニア宰相シュナイゼルの意見に同意する形だった。
シュナイゼルの提示するものは優れており、各国多少の議論はあるが大方スムーズに進んでいった。
だからこそ、ゼロをメシアと崇める者の中から不協和音が聞こえはじめる。
かつて少数のレジスタンスからはじまり最終的に大国を相手に戦える程の組織をつくるまでの手腕を持つ彼が、あそこまで人に任せているのはおかしい。
ただでさえシュナイゼルは敵国宰相だったではないか。
"あのゼロは本物なのか"
この噂がネットで世界に流れる。噂は噂をよび形を変え、ゼロの耳に入る頃には
"今のゼロは都合の良いように変えられた全くの別人、偽物の救世主"
と語られるようになっていた。
これにより再び動き出す者がいた。