私は道化師貴方は詐欺師


□父の墓前で覚悟を決めた
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ザァァァァァ−−…



今日、彼の友人が死んだと聞かされた。
一瞬心臓が脈打ち嘘だと思っても彼の話しを聞く限りそれが冗談じゃないことは一目瞭然だった。




降りやまない雨の中、私は独りピンク色の車の中で彼の帰りを待つ。
本当は一緒に今は亡き彼の友人に会いに行きたかったけれど、体調の悪い私を見兼ねて彼は私に「貴女は此処で待っていて下さい」と断言すると彼は独りで車から降りた。









(メフィストさん…遅いな…、)




ぼんやりとそんなことを考えながら窓に頭を預け外を見る。

すると、丁度良いタイミングでドアの開く音がし所々雨で濡れた彼−−メフィスト・フェレスが姿を現し帽子を脱いで私の隣に座った。



それと同時に私はメフィストさんにタオルを差し出し雨に濡れた箇所をそっと拭うと私の手を掴み自分の方へと抱き寄せた。



「…先程より顔色がすぐれませんね。悪化してるのではないですか?」



「…あ、えっと……」



確かにメフィストさんの言う通りだ。
朝起きた時から今日は少し体調が良くなくて、私の我儘で此処まで着いてきたのはいいけど車の中で待っている時くらいから顔が熱くなって頭もボーッとしている。


たじたじとしているとメフィストさんは軽く息を吐き私の頭をくしゃっと撫でる。



「正十字学園までまだ少しかかります。今のうちに休んでおきなさい。」



私はメフィストさんの肩を借りた。
それと同時にふわりと肩から羽織をかけられメフィストさんに目線を向けるとそっと頬を撫でられる。


その仕草がとても心地よく段々と眠気が襲ってきたときにふと思い出した。




「メフィストさ、ん…」



「ん?」



「藤本神父の子供、は…これからどうするんです…?」



「……あぁ、奥村兄弟のことですか?いやー、奥村兄には驚かされますな。久々に腹が捩れました。」



「私も、会ってみ…たいです、」



「何れ貴女も会うべき時が来ますよ。それよりも今はゆっくりと休みなさい。」



「は、い……おやす…なさい、メフィ…さ、」





それから私はゆっくりと眠りについた。

窓の外を眺める彼の瞳が哀愁を帯びていたことなど知る由もなかった−−…。
















(ん…此処は…?)
(おや、やっとお目覚めですか。)
(えと…今は…)
(疲れていたのでしょうね。丸一日寝てましたよ。)
(Σ…!?)
(大丈夫です。貴女が用意した制服はちゃんと奥村兄に渡しましたから)


















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