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□魔法学校
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◇ カリス ◇
それから時間まで、マンツーマンでブルガリア語の練習が続いた。
午後の授業に出なくていいのは、打ち合わせより、こっちがメインだったみたい。
おかげでハーマイオニーもマルフォイも、きれいな発音で日常会話程度なら話せるようになった。
マルフォイも勉強できる人なんだなぁ。
「すごいわ。なんていい子達なの?!これで私も安心」
ましろはニコニコしてマントを持ってきた。
「さぁ、時間になるわ。行きましょう」
私達が玄関に着いたとき、生徒たちはもう並んでいた。
ましろの後について先生方の列に行き、校長先生の前に並んだ。
生徒たちの列から、ざわめきが聞こえる。
「ほっほー!わしの目に狂いがなければ、ボーバトンの代表団が近づいてくるぞ!」
後ろで、校長先生が叫んだ。
ざわめきが大きくなった。
私もきょろきょろするが、何処から来るのか分からない。
「ミス.ローダンス、君の出番が近づきつつある。頼んだよ」
後ろから小さい声で校長先生に話し掛けられた。
「はい、先生。精一杯頑張ります」
小さい声で返して、背筋を伸ばした。
ボーバトンの代表団は大きな天馬に牽かれた、大きなパステル・ブルーの馬車で登場した。
どーん!という音と共に城の前に着地した天馬と馬車に、私は声も出なかった。
「………大きい」
ハーマイオニーが呟いたのに、頷くのが精一杯だった。
馬車の戸が空き、底から金色の踏み台が出た。
馬車の中から大きなハイヒールが片方現れ、息を飲んだ。
「………大きい」
私の呟きに、ましろが、しっ、と言って手を握ってくれた。
馬車から出てきたのは、とても大きい女の人。
もしかしたら、ハグリッド先生くらい?
そして、一歩一歩近づいてくるその人は、きれいな人でもあった。
きりっとした顔つきに、ひっ詰めた髪型。
黒い大きな目とつんと尖った鼻。
ちょっと恐い印象も受ける。
後ろの校長先生が拍手をしたので、慌てて私も拍手。
女の人は微笑んで、こちらに近づいてきた。
「これはこれは、マダム・マクシーム」
校長先生は私達の前に出て、差し出された女の人に手にキスをした。
「ようこそ、ホグワーツへ」
「ダンブリードール、おかわりーありませーんか?」
マダム・マクシームは少しなまった感じの英語を話した。
「おかげさまで上々じゃ。」
「わたーしのせいとです」
マダム・マクシームが後ろを振り返り、手をひらひらさせた。
そこには十数人の女の人が立っていた。
多分、6、7年生くらいだろう。
みんな寒さで震えていた。
「カルカロフはまだきーませんか?」
「もうすぐ来るじゃろう。外でお待ちになってお出迎えなさるかな?それとも城中に入られて、ちと、暖を取られますかな?」
「あたたまりたーいです。でも、ウーマは………」
それから馬の世話を頼んで、マダム・マクシームは生徒と共に中に入って行った。
「さぁ、次はミスター.マルフォイとミス.グレンジャーの出番じゃな」
校長先生の言葉に、隣りにいたハーマイオニーが頷いた。
多分、マルフォイも頷いたと思う。
数分間、私達の耳に聞こえるのは、馬の鼻息と蹄の音だけ。
そのうち、ゴロゴロと、ヘンにくぐもった音が聞こえてきた。
「湖だ!湖を見ろよ!」
生徒の誰かの声で、湖を見下ろす。
大きな帆船が湖の中から現れた。
乗員がタラップを降りて、こちらに向かってくる。
みんな体つきが大きい。
近づくに連れ、それが毛皮のコートの所為だと分かった。
先頭に立っている人が校長先生なんだろう。
みんなとは違う色のコートを着た、背の高い人だった。
「ダンブルドア!やぁやぁしばらく。元気かね?」
「元気一杯じゃよ、カルカロフ校長」
校長先生に挨拶したカルカロフ校長先生が、城を見上げながら懐かしのホグワーツ城、と言った。
でも、全然懐かしそうなんかじゃない。
カルカロフ校長先生は、一人の生徒を差し招いた。
「ビクトール、こっちへ。ダンブルドア、構わないかね?ビクトールは風邪気味で………」
カルカロフ校長先生に隣りに立ったのは、ビクトール・クラムだった!
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