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□第一の課題
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◇ カリス ◇
火曜日、昼食後、私とハーマイオニーは選手の通訳として、選手達の待つテントへ行った。
試合の説明をきちんとした方が良いという配慮だ。
テントに行くとマルフォイはもう来ていて、クラムの隣りに立っていた。
私はフラーが座っているテントの隅に近寄っていった。
いつもの様な落ち着きはなく、青ざめ、冷や汗をかいている。
《フラー、大丈夫?》
《大丈夫じゃないわ。でも、やらなくちゃ》
フラーは少し震えていた。
《フラー、あなたなら大丈夫。いつもの様にしていれば、きっとうまくいくわ》
それ程仲良しと言うわけではないけど、フラーを見て一つ気付いていた。
いつも自信たっぷりなのは、自分を信じているからだという事。
《そうね、私なら出来るわ》
フラーは青ざめたままで、ちょっとだけ笑った。
フラーに手を差し出す。
《応援しているわ》
フラーが手を出し、握手をする。
「よーし、よし!さぁ、楽にしたまえ!」
バグマンさんがニコニコして入ってきた。
「さて、もう全員集合したな………話して聞かせるときが来た!」
バグマンさんの陽気な物言いは青ざめた選手達の中で一人浮いているのに、全く気にしてない。
「観衆が集まったら私から諸君一人一人にこの袋を渡し、その中から諸君はこれから直面するものの小さな模型を選び取る」
通訳しながら、バグマンさんが振って見せている紫色で出来た絹の袋を指差す。
「あぁ、そうだ。諸君の課題は金の卵を取る事だ」
フラーは全く反応しなかった。
《フラー、質問は?》
何も言わない。
テントの外が、がやがやとうるさくなって来た。
期待と興奮で笑い冗談を言い合っている人たちと、布一枚だけで隔てられたここは、緊張の渦。
「レディー・ファーストだ」
バグマンさんがフラーの目の前に袋を突き出した。
フラーは震える手を中に入れ、精巧なドラゴンのミニチュアを取り出した。
ウェールズ・グリーン種。
首に「2」の数字をつけている。
クラムは「3」をつけた中国火の玉種、ディゴリーは「1」をつけたスウェーデン・ショート―スナウト種を取った。
みんな自分がどんな事をするのか、分かりきってる、といった表情だった。
「さぁ、これでよし!諸君はそれぞれ対決するドラゴンを引き出した。数字は順番だ。いいかな?では、私は解説をするので行かねばならん。ディゴリー君、ホイッスルが聞こえたら、まっすぐ囲い地に行きたまえ。」
バグマンさんが出た後、私達も出なければならない。
《フラー、あなたの活躍を見てるわ》
出る前にもう一回フラーの手を握って、テントを出る。
後からハーマイオニーとマルフォイも出てきた。
「さ、ハリーとロンが席を取っておいてくれたはず。行きましょう」
「クラムはどうだった?」
「さぁ、ムッとしたままだったから、ディゴリーと話してたの」
ハーマイオニーもかなりムッとして話す。
「マルフォイ、ちゃんと話せました?」
「当たり前だろう?大体、通訳がいるほど難しい話じゃなかった」
マルフォイもムッとして話し、先に歩いて行った。
それはそうだけど、励ましたりしなかったのかな?
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