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□ボディーガード
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◇ カリス ◇


食べて、寝て、一日するともう飽きた。



「ましろ、まだここにいないとダメですか?」



医務室のベッドには他にディゴリーがいるだけ。


ハリーの怪我は大した事なくて、医務室に入院もしなくて良かったらしい。


ディゴリーは顔の火傷が治るまでは退院しないようにマダム・ポンフリーに決められた。


で、私の退院を決めるのは、ましろ。



「そうねぇ。まだ跡が残ってるのよ。これがなくなったら退院していい事にしようかな。面会は許してあげる」



ましろはカーテンを開けた。



「カリス!良かった」



一番に飛び込んできたのは、ハーマイオニー。


私に抱きついて、良かったを連発した。



「ハーマイオニー、私の怪我そんなに酷かったの?」



確かに血まみれって聞いたけど、まずい増血剤っていうのも飲んだけど、驚くほど実感がない。



「当たり前じゃない!死んじゃうって思ったくらいよ!ルーピンがすぐに止血してくれて、ましろのテントに運んだから助かったのよ!」


「でも、そんなに傷付くはずない。私、たくさん服着てた」


「だから!岩の破片が刺さったの!!服なんか通して、たくさん!まるであな「はい、もうそこまで。ハーマイオニー、まだカリスには話してないのよ」……はい、ましろ……」



ハーマイオニーは渋々といった感じで、体を離した。


何?どういうこと??


ましろは、私の隣に座った。



「カリス、ハーマイオニーが言った様に、あなたの体には尖った岩の破片がたくさん刺さってたの。浅いのも深いのも色々ね。一番深かったのが心臓の近くのヤツ。顔や手の傷を優先したのもあって、まだ跡が残っている部分よ」



手を見ても何ともない。


顔を触っても傷があったことなんか分からない。



「でね、ここからが問題なんだけど、あなたの他に岩が当った人がいないの。あぁ、ハリーは別よ。でも、あなたの方が酷かったの」



何処が問題なんだろう?



「つまり、カリス目掛けて岩が飛んできたって事よ!」



ましろの後ろに立っていたハーマイオニーがじれったそうに口を出した。


でも、意味が分からない。



「カリス、どういう事か分からないけど、あなた、命を狙われてるわ」


「は?何言ってるんですか?」



ましろの真剣な顔が笑い出そうとする私を止めた。


ハーマイオニーを見ると頷いている。



「なんで?私何かしたかな?」



命を狙われるくらい酷い事、した?



「誰も分からないの。それに、やり方も問題なの。なんと言うか、もっと他にやりようがあったでしょ?って突っ込んじゃうくらい幼稚」



はぁってため息つくましろは、ちょっとだけ不満そうに見える。



「幼稚すぎて、やった人が絞り込めないのよねぇ」



良かった。


もっと上手く出来ただろう?って言う不満じゃなくて。



「だからボディーガード、付ける事になったの。校長命令だから拒否できないけど、不便な事はないと思うわ」



にっこり笑って話すましろと頷くハーマイオニー。



「え〜っと、ちなみに誰ですか?」



私の知らない所で、いろんな事が起こっていく。


せめて、そのボディーガードとやらは知ってる人でありますように。



「私だ。よろしく、カリス」



カーテンから覗いた顔はブラック先生だった!!



「ごめんね、他に空いてる人がいなくて。こう見えてもシリウスは強いから頼りになるわよ」


「ましろ………いい加減、弟扱いは止めてくれ。カリスも不満はあるだろうが、ここは我慢だ。いいな?」



わぁ!不満があること分かっちゃうんだ?



「宜しくお願いします、ブラック先生」


「あぁ、シリウスで良い。そんなにかしこまる必要もない。普通にしていろ」


「シリウス!そんなんだから、カリスが怯えるんでしょう。女の子は丁寧に扱いなさい」



ましろがシリウスを怒ってる!!


はっ!ママモードだ!



「分かったよ。……カリス、普通にしてくれ。……これでいいか?」


「カリス、ごめんねバカで。でも魔法の腕だけは良いから、我慢してね」



ましろはシリウスを睨みつけ、私に向かって笑って言った。


もう、頷くしかないよね?





それから二日後、自分の魔法で跡形もなくなった私の胸元を満足そうに見たましろに退院の許可をもらった。






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