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□クリスマスパーティー(2)
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◇ カリス ◇
クリスマスの朝、プレゼントを開けて部屋を出る。
「メリークリスマス、ライアン。プレゼント、ありがとう」
右手を出して、もらったブレスレッドを見せる。
「メリークリスマス、カリス。僕こそ、手袋ありがとう。朝食後、外を散歩しないか?」
せっかくだから着けたい、というライアンに頷いて、大広間に行った。
散歩の後ライアンとお昼を食べて、しばらく談話室でおしゃべりした後、部屋に戻る。
「じゃぁ、7時半に談話室で」
ライアンとの待ち合わせの時間まで後二時間。
パパとママが贈ってくれたパステルグリーンのドレスローブに着替え、途方に暮れる。
髪とメイク、どうしたらいいんだろう?
いつもと同じじゃドレスに負けて浮いてしまう。
ハーマイオニーは私より先に支度にかかって部屋にこもりきり。
他の子も自分の事で忙しいだろう。
…………あ、ましろ、忙しいかな?
困った事があったら頼りなさいって言葉を真に受けてはいけない事は重々承知してるけど、でも、他に頼る人がいない。
いない時はあきらめて自分で何とかしよう、とダメ元でクローゼットの中のドアをノックする。
「はい、どなた?」
いた〜〜!!
「カリスです。今、お時間頂けますか?」
開けられたドアの中に問いかけると、ドレスローブを着て、いつも以上にきれいなましろがいた。
「いいわよ。入ってちょうだい。………髪とメイクが出来ないのね?」
「はい。あの、道具も何もなくて………それでもお願いしていいでしょうか?」
「えぇ、もちろん。心配しなくても、私の物を使えばいいわ。かわいくしてあげる」
椅子に座らされ、ましろに言われるまま、口や目を開けたり閉じたりする。
「髪も私の好みでいいのよね?」
頷くと、ましろは私の後ろに回り込んで、髪を触り始めた。
「そうねぇ、こんな感じでいいと思うけど………」
ブラシを置いたましろは、私に鏡を見せてくれた。
「これ………私?」
いつもより目が大きく見えるような気がする。
唇はつやつや。
ふわふわしてた髪は、縦ロール。
「そうよ。カリスは元がいいから、あんまりいじらない方がいいと思って。髪は魔法掛けてるから、明日の朝まで縦ロール」
知らなかった。
化粧って、髪型って、こんなに印象変えるんだ。
「何だか別人みたいで、ヘンな感じです」
「今までした事無かったでしょ?カラーリップを塗るだけでも、全然違うわよ」
ましろは私に一本の口紅を見せた。
「これ、プレゼントしちゃう。イメージと違ってて買ったまま使ってなくて、今あなたに塗ってるやつなの。良かったら使ってちょうだい」
薄いピンク色のそれは、大人への第一歩。
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