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□『日刊預言者新聞』 No.1 
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☆ ましろ ☆


今日から新学期。


休暇中は何かと一緒にいてくれたセブも、今日からはしっかり“先生”しなくちゃね。



「セブ、朝食に行こう」



大広間にふくろうが新聞を届けてくれる。


セブが受け取り、私がお金を払う。


セブはざっと記事に目を通し、私に新聞を渡す。


そんないつもの光景が今日は違った。



「ん?セブ、なんかあった?」



記事を真剣に読んでいる。


読んだ後、新聞を持ったまま考え込む。



「ましろ、他から聞くよりはいいと思ってこれを渡すが、お前は行動してはいかん。いいな?」



意味が分かんないけど?


でも、何もないうちからそんな事を言われるのは心外だ。



「セブ、それは私が決める事でしょ?読んでから決めるわ」



はい、と差し出した手に新聞が載る。


で、目に入ってきたのは、不機嫌そうなハグリッドの写真。


記者はリータ・スキーター………


内容は、おじいちゃんの悪口に始まって、ムーディーとシリウスの教員採用に対する不安感を煽り、で、許せない事にハグリッドの事をとんでもない人のように書いていた。


『不愉快な真実』?


『半巨人』?


『危険性』?


ハグリッドの本当の姿なんか何にも知らないくせに!!



「ましろ、落ち着くんだ。お前が怒っても記事はもう皆の目に入っている。どうにもならんのだ」



セブに手を掴まれ、自分が立ち上がっている事に気付く。


大広間中が私を見てる。


中には、新聞読んでた子も……………


あぁ、でも、分かってるけど、落ち着けない!



「冗談じゃないわ!私の大好きな友人がひどい事書かれてじっとしてなんていられると思う?おじいちゃん!リータをホグワーツに呼んで!私が話したい事があると言って!そうね、餌は私の生い立ちでどうかしら?」



おじいちゃんは頷いた。


次はハグリッドのケアね。


教員席にハグリッドはいない。


こんなバカらしい記事を読んでなければいいんだけど、読んだなら多分、小屋から出て来ない。



「ドラコ!一緒に来なさい!」



セブは何か言いたそうだったが、手を離してくれた。


新聞をくしゃくしゃに丸めて大広間を出る。



「セス、私とドラコのコートを持ってきて」



出た所でセスにお願いして、後ろから付いて出てきたドラコに向き直る。



「何故呼ばれたか分かってるわね?」



ドラコは頷いた。



「で、何処までが本当に話した事なの?」



ドラコのインタビュー記事には事実(に近い物)と、そうでない物があった。


何も言わないドラコに全部か、と察しを付ける。



「ねぇ、ドラコ。あなたに怒ってるんじゃないわ。あんな“くそ記事”を描いたリータに怒ってるの。顔を上げて、私を見て、正直に話しなさい」



ドラコは私を見て、言いにくそうに口を開く。



「ましろ、僕、事実を話しただけだ」


「“みんな彼をとても嫌ってます”?“怖くて何も言えない”?これも事実?」



ドラコの瞳が揺れる。



「ねぇ、ドラコ。あなたが自分の気持ちを話すのは構わない。でも、みんなの気持ちを代弁するのなら、少なくとも………私の気持ちも聞いて欲しいわ」



ドラコは黙ったまま頷いた。


セスがコートを持ってきてくれた。



「さ、今からハグリッドの所へ行くから、私を連れていって」



コートを着て、ドラコに手を出す。



「雪が積もってて、一人じゃいけないのよ。転んだら危ないでしょ?セスはお留守番ね」



ドラコはコートを着て、私の手を握ってくれた。






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