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□『日刊預言者新聞』 No.2
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◆ リーマス ◆


その朝、大広間で新聞を受け取った生徒たちが悲鳴を上げた。


何が起こったんだ?


不思議に思いながら、届いた新聞を広げ………


は?



「なんだ?これ?!」



隣からシリウスが覗き込んでくる。


が、私は反対側の教員席に座っているであろうましろとセブルスを見た。


新聞を覗き込んでいたましろがぐったりセブルスに凭れかかった。



「ましろ!しっかりしろ!!」



セブルスがましろを抱きかかえ、慌てた様子で大広間を出ていく。


ダンブルドアも二人について出て行った。


何が起こったのか理解できずにざわつく生徒をマクゴナガルが一喝し、朝食を続けさせる。


が、食事どころではない。



「おい、あれ、この記事の所為じゃないか?」


「そのようだね。彼らもその記事を読んだようだから」



二人の席の周りには届いたばかりの新聞が散らばっていた。


今朝のトップニュースは、ましろがとんでもない“あばずれ”だという、いわゆる暴露記事。


みんなから慕われている裏で、近寄ってくる男を手玉にとり、貢がせ、それは結婚した今でも変わってない、そうだ。


“被害者”には生徒、先生はもちろん保護者まで含まれている、らしい。


名前は伏せてあるが、確実に個人を特定できるような事まで書いてある。


去年から『DADA』の教師をしている………私だ。


『生き残った男の子』………ハリーまで書かれている。


そんな事を書かれては普通でもたまらないだろうに、ましろは今普通ではない。


お腹が大きいましろの事をこんなにショッキングに書くなんて、でっちあげにしても程がある。



「馬鹿げてる!過去最高に人を馬鹿にした記事だわ。こんな新聞、もう買わない!!」



グリフィンドールの席からハーマイオニーの怒ったような声が聞こえ、見たら新聞をビリビリに引き破っていた。


他の子たちも同じように丸めたり、引き裂いている。


中には早速羊皮紙と羽根ペンを出している子もいる。


恐らく記事の内容に抗議し、購読中止の手紙を書くのだろう。


その様子を見たマクゴナガルは散らばった新聞を杖でまとめ、手に取った。



「まぁ!これは…………」



大広間中に響き渡る程の叫び声を上げ、記事に目を走らせる。


読み進めていくうちに、顔から血の気が引いて行く。



「こんなっ!………朝食どころでは………みなさん!本日の変身学は休講といたします!!」


「ぁぁ、薬草学もです!!ミネルバ、私、友人にも手紙を書かなければ………」



教員席から次々と『本日 休講』の声が起き、結局、全ての授業は休みとなった。


しかし生徒から歓喜の声は上がらず、皆、ひたすら羊皮紙に向かっていた。


こんなに集中して何かをしている生徒は、珍しい。


是非、日頃の授業でもその才能を発揮してもらいたい。


そう思いつつ、新しい羊皮紙を取り寄せ、羽根ペンを動かす。


結局、トイレと羊皮紙を取りに行く以外、誰も席を立たず、夕食の時間になった。


その日、個人のふくろうはもちろん、学校のふくろうも大広間に入ってきては持てるだけの手紙を持ち、何度も往復していた。










翌朝からホグワーツの大広間に新聞は届かなくなった。




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