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□ホグズミード
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◇ カリス ◇
三月に入ると、空気がかっらっとしてきた。
外はまだ冷たい風が吹きすさび、温室やハグリッド先生の小屋へ行くのは辛かった。
「カリス、今度の土曜日、ライアンと行くんでしょう?」
ハーマイオニーの言葉に頷く。
久しぶりのホグズミード。
きっと楽しいだろう。
この前パニックを起こした時に気付いた自分の気持ち。
私、ライアンの事が好きだ。
彼のそばに居れなくなるって思った時、ホントに嫌だった。
でも、これは誰にも言えない。
ライアンは………きっと………私の気持ちを喜んでくれるだろう。
『病気』の事なんて、気にしないって言ってくれるだろう。
とっても優しい人だから。
はぁ。
本当に私の『病気』が話せなくなるだけだったらよかったのに。
「ミス.ローダンス、我輩の授業で考え事とは余裕がありますな」
後ろから掛けられた声はスネイプ先生。
「グリフィンドール5点減点」
あわてて乳棒でタマオシコガネを磨り潰す。
しまった。
ここできちんと潰しておかないと、失敗への道をひたすら突き進む。
スネイプ先生が前に行ってしまった事を確認して、ハーマイオニーが声を掛けてくれた。
「カリス、ごめんなさい。私がきっかけ作っちゃったわ」
「ううん、大丈夫。先生のおかげで、きちんと潰してから入れる事が出来る」
粉末を鍋に入れ、根ショウガを刻む。
「カリス、ホントにあなたってお人よしねぇ」
ハーマイオニーの言葉に苦笑する。
ホントのお人よしは、スネイプ先生。
さりげなく失敗しそうな子をフォローしてるし、何より私の薬を毎週きちんと作ってくれる。
ちゃんと見てれば、いい人なんだって事が分かる。
だって、ましろの旦那さんなんだよ?
授業中なのに教室の戸をノックする人がいる。
「入れ」
先生は入室を許可した。
戸が開いて入ってきたのは、カルカロフ校長。
カルカロフ校長は慌てたように先生に近寄っていく。
クラスの全員が二人を見ている。
先生はちょっと顔をしかめ、教室の端に行き、誰にも聞かれないように小声で話した後、カルカロフ校長から離れた。
その後、授業が終わるまでカルカロフ校長は先生の机のそばをうろうろし、先生はイラついたようにグリフィンドールを減点した。
「あの二人、何かあるわね。いったい何を話したいのかしら」
「さぁ………私には関係ない事だと思う」
授業が終わって、先生はマルフォイを呼んで、ましろに遅くなる、と伝言を頼んでいた。
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