Short storise

□Doll
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昨日、ましろに手紙を送った。

朝食の席で、チラチラとましろの様子を窺う。

先に来ていたセブルスの隣に座り、ましろは食事を始めた。

何か話しながら、フォークを動かしている。

あぁ、早くふくろうが来ないかな?

僕はドキドキしながらその時を待つ。

食後の紅茶を飲んでいると、大広間にたくさんのふくろうが飛び込んできた。

内一羽がましろの元に飛んでいく。

ましろは自分の目の前に落とされた手紙をちらっと見て………

カボチャジュースのコップに手を伸ばしたっ!!

違うでしょ?

そこは、手紙でしょ??

僕は立ちあがって駆け寄りたい気持ちをぐっと堪える。

堪えるんだ、僕。

ここは大広間。

生徒も大勢いる。

小さく息を吐いて気持ちを落ち着かせる。

セブルスがましろに話しかけ、ましろはやっと手紙を手に取った。

封筒の裏を見て、ちらっとこちらに目を向けた。

僕は小さくウィンクする。

ましろは何の反応も見せず、封筒に目を戻すとそれをポケットに入れてしまった!

なんだよぉ〜〜。

早く読んで欲しかったのに。

それでも人目を気にして落胆を隠す。

その後、ましろはセブルスと大広間を出て行った。

ま、いいだろう。

席を立った時、ましろはもう一度僕を見た。

部屋に戻ってから読むんだろう。

手紙を読まずに捨てたりはしないはず。

僕は紅茶を飲み干して、席を立った。







めんどくさいなぁ、もう。

夕食を終えて、大広間を出る。

「ましろ、今からどうする?」

セブルスの問いに、今朝貰った手紙が思い浮かんだ。

「今日は寝る。課題も終わってるし、朝から調子出ないままだから」

「朝からって………そういえば、あさぎからの手紙、なんだって?」

「ん〜〜?大した事なかった。手紙くれってさ」



私宛の手紙なんて珍しくって、セブルスの方が驚いていた。

誰からか確認しないのか?と聞かれ、私に手紙くれる人なんてアレしかいない、と思いつつ差出人を見て、やっぱり、とじじぃに目を走らせた。

じじぃは嬉しそうにウィンクした。

………何だかなぁ。

全くもって、内容の想像がつかない。

想像がつかないから一寸だけ憂鬱な気分になる。

めんどくさい事じゃなきゃいいんだけど………

「あさぎ兄様から」

「そうか。……読まないのか?」

「うん。今は良いや。急ぎの用事でもないだろうから」

手紙をポケットに突っ込んで、じじぃの反応を見た。

………慌てた感じがしない。

やっぱ、急ぎじゃない。

ホント、何だろ?

で、教科書取りに部屋に戻った時読んだ。

” 今夜、僕の部屋に遊びに来て下さい。お待ちしています  A ”

なんだこれ?

呼び出しか?

全くもって、ますます理由が分からない。

”遊びに”って事は………気軽な感じでって事?

”お待ちしてます”って事は………必ず来いって事?

何でじじぃの部屋に気軽な感じで呼び出されたんだ?

ってか、呼び出された時点で、気軽に、なんて無理だし。

理由分かんないと、モヤモヤするぅ〜〜。

それから1日中、私はその理由を考え、何も思い当たらず、いつも以上にぼぉぉっとして過ごした。

おかげで各教科の先生に注意されまくり、計5点の減点を貰った。



「それだけで1日中ぼぉっとしてたわけじゃないだろう?心配事か?」

「いんや。ただ、めんどくさいんだよね。ホグワーツの生活って単調でしょ?手紙に書くって言っても、そうなくってさ」

「確かに何かイベントがない限り、そうないかも」

「で、何書いたらいいのかなぁってずっと考えてた」

「1日中?」

「うん。1日中」

セブルスは呆れたような声をあげた。

「ましろ、お前そんなどうでもいい事で5点も減点されたのか?」

私は小さく頷いた。

本当の理由は違うが………中身は大して違わない。

どうでもいい事で5点減点された事実は変わらないのだ。

「………そうなんだよ。だから今日は寝る」

「そうだな。それがいい。早く寝て、仕切り直せ」

睡眠は気持ちをリセットしてくれる、とセブルスはアドヴァイスをくれる。

「ありがと、セブルス。おやすみ」

「おやすみ、ましろ。ゆっくり休め」

私達は女子寮の前で手をあげて別れた。





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