Short storise

□Birthday (2)
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カチッ!

目覚ましのスイッチが入った瞬間に、止める。

これが僕の朝一番の日課。

伸びをして眼鏡をかける。

と、リーマスの目覚ましが鳴り響いた。

「おはよう、リーマス」

目覚ましを止め、体を起こしたリーマスを見ると、おはよう、と返された。

「誕生日おめでとう」

「ありがとう、リーマス。用意して、シリウスを起こそう」

僕達は顔を洗い、着替え、シリウスのベッドの傍に行った。

僕が布団に手を伸ばした瞬間、がばっと布団が起き上がった。

「「うわっっ!」」

「はっはっは!どうだ、驚いただろう?」

シリウスがベッドの上に仁王立ちしている。

「毎朝毎朝、起こされてばかりも締まらないからな」

シリウスの言葉に、僕達は顔を見合わせた。

「それは良かったよ。おはよう、シリウス」

「おはよう」

「おう!おはよう。ジェームズは誕生日おめでとう、もだな」

僕は、ありがとう、と返してシリウスが用意するのを待った。

「さ、行くぞ」

………毎朝の事だけど、僕達は君を待ってあげてるのに、どうして偉そうなんだろう?

僕は呆れながら部屋を出た。

「なぁ、今日ましろに言うのか?」

シリウスが僕の肩に手を置いて小声で聞いた。

僕は頷く。

「今年の誕生日はそれが目的と言ってもいい。リーマスのリベンジだよ」

シリウスはニヤッと笑った。

「それでこそジェームズだぜ。早起きした甲斐もあるってもんだ」

「まさか大広間に早く行ける様に早起きしたって事?」

リーマスの問いに、シリウスは大きく頷いた。

「ジェームズが言えば俺も便乗出来る。その為にまずは、ましろを捕まえないと話になんないからな」

俺って頭いい!と嬉しそうなシリウスにため息だ。

「ましろ、”おめでとう”は言ってくれても、プレゼントは難しいんじゃないかな?」

「何だよ、リーマス?お前は欲しくないのか?」

シリウスの言葉に、リーマスは頭を振った。

「欲しいけど………言って呆れられるのも嫌だと思って。自分の誕生日ならともかくね……便乗じゃ無理かも」

シリウスはリーマスの肩を小突いた。

「度胸ねぇなぁ。男はどーんっとぶつかってなんぼだぜ?」

便乗はダメって言われたら、誕生日に言ったらいいんだよ、とシリウスは続ける。

「が、この前の様に会えない事も考えられる。先ずは大広間で張っとかないとな」

僕達は頷いて、大広間に入った。





スリザリンのいつもの席は空っぽ。

どうやら早く来すぎたようだ。

僕達はましろの席を開けて、そこに陣取る。

ご飯も一緒したいから、カボチャジュースを飲みながら待った。

しばらくして向かいに座るリーマスが、スネイプが来た、と教えてくれた。

足音は後ろで止まり、大きなため息が聞こえた。

「そこは僕の席だ、ポッター」

「おはよう、スネイプ。ましろはまだ?」

僕は振りかえり、聞く。

動くつもりがない、と分かったのか、スネイプはリーマスの隣に座った。

「見ての通り、一人だ。今日は何だ?」

「僕の誕生日だからね。ましろにおめでとう言ってもらおうと思って」

スネイプは小さく息を吐き、皿を取って朝食を取り始めた。

「なぜ、ルーピンがこっち側に?」

端からシリウス、一つ(ましろ用の席)空けて、僕。

僕の向かい側がリーマスだ。

「じゃんけんで負けちゃったんだ」

リーマスが悲しそうな顔で話す。

「それは残念だったな。が、ましろを一番に発見できる」

スネイプはそう言って、口元をナプキンで拭いた。

僕はましろが来たんだ、と思って姿勢をただした。

「おはよう……これは、朝からお揃いで………何事?」

ましろの声が後ろから聞こえた。

僕は誕生日だから、と言う準備をしてましろが隣に座るのを待った。

がたっと音がして、スネイプが急いで立ち上がり、動いた。

「ましろ?!大丈夫か??」

へ?

僕は急いで振り返る。

すぐそばにましろが蹲ってて、スネイプが抱えている。

「ぁ〜〜貧血だ。一寸血が足りない」

そう言って顔を上げたましろの顔は青白くて、いつも紅い唇も艶がない。

「医務室に行こう。立てるか?」

「ぃや〜〜無理かも」

力なくましろは笑う。

スネイプはましろをおんぶすると、立ちあがった。

僕もシリウスもリーマスも一緒に医務室に向かった。

マダム・ポンフリーが驚いた顔で僕達を入れてくれた。

「まぁまぁ。どうしたの?」

「貧血らしいです。大広間で倒れました」

スネイプの答に、ポンフリーは頷いた。

「そこのベッドに。ミス.こう。今朝から?」

ましろは診察を受けながら小さく頷いた。

「何故始めから医務室に来なかったんですか?」

「ぁ〜〜毎月だし、ご飯食べれば治ると思って………」

「貧血を甘く見てはいけません。お腹は痛くないの?体がだるかったり?」

ましろはまた頷いた。

ポンフリーは診察を終えて、体を起こした。

「あら、まだいたの?」

ポンフリーは僕達がいる事に驚いたようだった。

「ましろは大丈夫なんですか?」

「えぇ。本人も言ってるように、貧血です」

ポンフリーはスネイプを見た。

「彼女には今日一日ここで過ごしてもらいます。1時間目の先生にそう伝えて。2時間目からは私が伝えますから」

スネイプは頷いて頷いて、ましろを見た。

「放課後授業のレポートを持ってくる。マダムの言う事を良く聞いて寝てろ」

ましろは少し笑って、ありがと、と呟いた。

スネイプは医務室を出て行く。

「さ、あなた達は?早く授業の用意をした方がいいのでは?」

でも、目を閉じてしまったましろの顔色の悪さが、僕達をその場から動けなくしていた。

ぐずぐずしている僕達に業を煮やしたのか、ポンフリーは僕達とましろの間に立った。

これ以上ここにいるなって事だろう。

僕達はましろに向かって、早く良くなって、と声をかけた所で、医務室を追い出された。

ましろの声は聞こえなかった。

小さかったか、眠ってしまっていたんだろう。

「ただの貧血とは思えねぇけどな」

「うん。貧血でお腹痛くなったりしないと思う」

「でも、ポンフリーを信じるしかないよ」

そこで授業開始のベルが鳴り響いた。

「やばいっっ!!」

遅れて行った変身術のクラスで、僕達はましろを医務室に運んで行った、と言い訳した。

が、誰かがましろを運んだのはスネイプだった、と言ったので、マクゴナガルの怒りに火を付けた。

「倒れた友人を言い訳に使うなんて、恥を知りなさい。放課後、私の部屋に来なさい」

「「「え???」」」

「罰則を受けてもらいます。3点減点だけでは足りない様ですから」

マクゴナガルの睨みに言い返せるはずもなく、僕達ははい、と返事して席に着いた。

「お腹空いた………」

リーマスが僕の呟きに頷いて、そっとチョコレートをくれた。

昼食には2食分を食べる。

スネイプが、放課後までましろは面会謝絶だ、と教えてくれた。

放課後、2メートルの羊皮紙一杯に細かい字で”2度と遅刻しません”と書かされ、書き終わった頃は夕食の時間。

「どうする?食べて行く?先に行く?」

リーマスが字の書きすぎで痛くなった手をさすりながら言った。

「そうだねぇ、先に行こうか?いや、やっぱり後にした方が良い」

僕の言葉にシリウスが何で?と聞く。

「ましろと話し込んで夕食取り損ねたくないから。お腹も空いてるしね」

二人は頷いて、一緒に大広間に行った。

かなり大急ぎで夕食をお腹に詰め込み、医務室に行く。

ノックすると、ポンフリーは僕達を見て驚いた様な顔をした。

「どうしたんですか?具合が悪いの?」

「あの、ましろは?」

ポンフリーはあぁ、と納得したような声を上げる。

「ミスター.スネイプと一緒に寮に戻りました」

「「「えぇぇぇぇ???」」」

「問題が?」

ポンフリーは眉毛を上げた。

「ましろは良くなったんですか?」

「えぇ。勿論です。薬を飲ませましたから。夕食をここでとらせてから、帰しました」

ポンフリーは腕を組んだ。

「で?他に質問は?私の治療方針に問題などないはずですが?」

「ぁ、勿論です。ましろが元気になったなら良かったです」

僕は急いで答えた。

「マダム、スネイプは何時からいたんですか?」

リーマスが僕の後ろから質問した。

「あぁ、放課後すぐに来ました。夕食を一緒にとって帰りましたよ」

「それ「ありがとうございます。おやすみなさい」………」

シリウスが何か言おうとしたが、リーマスがシリウスの口を塞いで、ポンフリーに挨拶した。

ポンフリーはドアを閉めた。

「何だよ?何で俺に話させないんだ?」

シリウスが不満そうに口を開いた。

「だって、ポンフリーに文句言おうとしたでしょ?」

リーマスの言葉にシリウスはうっ!と言った。

「放課後来れなかったのは僕達が罰則を受けてた所為だ。医務室より先に大広間に行ったのも僕達。でしょう?」

「そうだけどよぉ」

「スネイプに全部持ってかれちゃったのは悔しいけど、ましろが元気になったんだから」

良かったんだよ、とリーマスは自分にも言い聞かせるように言った。

僕もそう思うしかない。

「部屋に戻って、課題しようか」

「だな。寮に戻っちまったんなら、もう会えないだろうしな」

僕達は部屋に帰った。

すぐに窓になにかがぶつかる音が。

急いで開けると、ふくろうが箱を落として行く。

リボンがかかったそれは………両親からの誕生日プレゼントだ!!

「あぁっっ!!誕生日って事忘れてたっ!!」

カードには”誕生日おめでとう”の他に、”朝は開ける時間がないだろうから、夜の便で送った”と書いてある。

それは嬉しい事だけど、僕はもう一つ大事な事を思い出した。

二人を見ると、同じ様に絶望的な顔をしている。

「僕達、またましろにおねだり出来なかった」

僕の言葉に二人ははぁぁぁ、と大きなため息を吐いた。

”ほっぺにキス”

来年までオアズケ決定だ。




◇◆◇ お詫び ◆◇◆

ジェームズごめんよ。

リーマスと同じ時に書いて置いてたの、UPするの忘れてた。

1日遅れたけど、HAPPY BIRTHDAY!


………で、内容がこれって、酷いかね?


当たり前じゃんっっ!!(by ジェームズ)


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