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□勉強
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地下牢を目指す。
「カリスです。ましろ、いますか?」
「入って」
ましろ声がしたので、中に入る。
「おはようございます。ましろ?大丈夫ですか?」
おはよう、と返してくれたましろは疲れているようで、顔色も悪かった。
「大丈夫。寝てないだけだから」
「寝てないって、ダメじゃないですか。何してたんですか?」
ましろはちょっと笑って、ゴブレットを見てたって言った。
「炎が上がって、きれいでしょう?見てたら目が離せなくなって、朝まで玄関ホールにいたの。失敗しちゃった」
苦笑いで私に羊皮紙を渡してくる。
「これが作り方。読んで分からない所がないか確認してみて」
初めて見る調子の悪そうなましろの姿が気になりながらも、レポートを読み始めた。
読んでいて、途中から気が遠くなり始める。
昨日の説明、かなり、すごく、端折ってあったんだ。
実際はかなり大変だった。
“切って”、“混ぜて”、までは何とかなる。
でも“火加減”が難しい。
材料を入れる度に、強火、弱火、と加減して、最後の締めには強火から消した後、一気に冷却するなんて、私に出来るのかなぁ。
その後常温に戻す?
………どうやって?
「どう?出来そう?」
私が最後まで読んだのが分かったのか、ましろに聞かれる。
「難しそうです。自信ありません」
「そうかぁ。この薬ね、誰にでも作れるものを目指してるのよ。これでも簡単になった方なのに………」
はぁって、ましろはため息ついた。
「何で誰にでも作れるようにしたいんですか?」
「ん?薬を求めて私の所に来たら病気が分かっちゃうかも知れないから。送るにしても、リストとか作りたくないの。……出来上がったら新聞に広告出そうと思って。いる人は切り抜いて、自分で作る。良いと思わない?」
「だって、それじゃぁ、ましろにお金入んないじゃないですか?!」
新薬って、特許とか取ったら莫大な財産が出来るってパパが言ってた。
「あぁ、そんな事。これは私の趣味みたいな物だから、どうでもいいの。聖マンゴのお給料だけでも多すぎるくらいだし、ホグワーツからも出てるし」
ここにいたらお金使わないのよねぇ、って、羨ましい発言も出た。
やっぱり優秀な人は何処か変わってるんだ。
でもお金が要らないなんて、私達にとっては、すごくうれしい事。
「ましろ、少し読み込んでから、一度作ってみても良いですか?」
「えぇ、もちろん。その為に来てもらったんだから」
レポートを読み、ましろに確認しながら、手順を覚える。
「じゃぁ、材料は、これね」
用意されていた大鍋のテーブルに行き、材料を刻み始める。
覚えた手順をレポートで確認しながら、進めて行く。
材料を入れる度、火力を調節し、何とか最後までこぎ付ける。
「後は火を止めて冷却呪文ね。カリス、がんばって!」
ましろの声援に頷いて杖を持ち、火を止めた瞬間に冷却呪文を掛ける。
「もっと強く!一気に冷やすの!」
えぇ!!これが精一杯かも!!
結晶が出来始める。
「はい、止めて!!」
ましろの声に、呪文を止めた。
「どうだった?薬は、まぁ、もう少しってとこだったけど……冷え方が遅かったかな?」
鍋の中には、どろっとした黄緑色の液体。
「確か、透き通ったオレンジでしたよね?」
ましろは苦笑して、最初だしね、と言ってくれた。
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