Follow Me

□ハロウィンパーティー
2ページ/6ページ


★ セブルス ★


全く、不愉快だ。


最近のましろは、確実に何かを隠している。


夏休みに入ってからの隠し事は、大体想像ついた。


話し出すまで待ってやれる類の事だ。


が、ここニ、三日の様子は今までとは違う。


明かに楽しい事を隠している。


なんなのか想像できない事に加えて、昨夜の徹夜。


あのゴブレットに細工できる者などそうはいないはずだ。


なのに、あの心配の仕方。


未来を知っていたましろの事だから、無理はないのかもしれないが、もう少し私を頼っても良さそうなものだ。


ましろの体調を考えると、こんな宴など欠席して休んでいた方が良いというのに。


午後からは寝ていたとはいえ、まだ疲れが残っている。


さっきも自分に風を送って、やっと起き上がった程だ。


そう言えば、ましろが自分自身に風を使う事が増えたような気もする。


あぁ、またパンばかり食べている。


皿の上にはサラダとソテーしたサーモンがほんの少し。


この所の偏食具合も凄まじい。


ましろの体に何かよくないことが起きてるんではなかろうか?





バーンっと大きな音を立てて大広間の扉が開いた。


何ごとかと杖を持ち、入ってきた人間を見て驚いた。


マグルの格好をした子ども。


ホグワーツの生徒ではない彼に見覚えがある。


彼は回りを気にせず、こちらに近づいてきた。



「セブ、私が呼んだの。ちょっと行って来るわ」



ましろが嬉しそうな顔で立ち、彼に近づいた。



「ヘルメス!!来てくれてありがとう!!急に呼び出して、ごめんなさい」


「ましろ!久しぶり!相変わらず、きれいだね」



二人はみんなの前でハグして、ダンブルドアの所へ行った。


一体何の事だ?


何が起きるのだ?


隠し事はこれか?


大広間中がシーンとしている。



「おぉ、ヘルメス、来てくださったのか。ましろが、どうしても気になる事があると言うんでご足労掛けましたのう」



ダンブルドアが頭下げた。



「ん?いいよ。そろそろ様子見にきたかったし。で、頼まれてた物だけど、これだと思う」



ヘルメスはダンブルドアに羊皮紙を手渡した。



「おぉ!これは………ありがとうございます」



大広間中がどよめく。


さもあらん。


ダンブルドアが小さな男の子にお礼を言って、頭下げてるのだから。



「いいってば。それより、ましろ。こんな簡単な事、お願いにもお祝いにもならないからね」



ヘルメスはダンブルドアをスルーして、ましろを見る。



「えぇ〜結構難しいよ。少なくとも私達にはムリだったから。ありがとう、ヘルメス」



ましろがヘルメスの頬にキスするのを見て、慌てて駆け寄りましろを引き寄せた。


彼らは油断も隙もないからな。


それよりさっきヘルメスが言った事………。



「ヘルメス?お祝いとは?」



何の事だ?


知らないうちにましろが何かやったのか?



「あれ?知らないの?君がお父さんになるって話だよ」


「やっ!ちょっと、まだ内緒だったのよ!!何で言っちゃうかなぁ!」



ましろが慌ててヘルメスの口を押えた。


なに?


私が………父親に?



「それは、つまり、ましろのお腹に………本当か?」



まさかこんな事でからかいはしまいが、確認の為ましろの顔を覗き込んだ。



「あ〜そうなの。つまり、そういう事。アルテミスがこの前来てね………」



全部は聞かなかった。


ましろを抱きしめる。



でかしたっ!!



思わず大きな声が出てしまった。


だが他に、この喜びをどうやって表現したらいいのか分からない。



「あのね、本当は今夜話そうと思ってたの。内緒にしててごめんね。偏食は悪阻だったみたい。吐かないなんて私らしいよね。心配かけてごめんなさい。でね…「もういい。わかった。ありがとう、ましろ」……」



抱きしめられたまま、ましろは焦ったように色々話そうとした。


が、そんな事はどうでもいい。


いま、私のこの腕の中に愛しい者が二人もいるのだ。



「ありがとう、ましろ。私は幸せ者だ」



他の誰にも聞かれないよう、ましろの耳元で囁いた。





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ