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□ハロウィンパーティー
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★ セブルス ★
全く、不愉快だ。
最近のましろは、確実に何かを隠している。
夏休みに入ってからの隠し事は、大体想像ついた。
話し出すまで待ってやれる類の事だ。
が、ここニ、三日の様子は今までとは違う。
明かに楽しい事を隠している。
なんなのか想像できない事に加えて、昨夜の徹夜。
あのゴブレットに細工できる者などそうはいないはずだ。
なのに、あの心配の仕方。
未来を知っていたましろの事だから、無理はないのかもしれないが、もう少し私を頼っても良さそうなものだ。
ましろの体調を考えると、こんな宴など欠席して休んでいた方が良いというのに。
午後からは寝ていたとはいえ、まだ疲れが残っている。
さっきも自分に風を送って、やっと起き上がった程だ。
そう言えば、ましろが自分自身に風を使う事が増えたような気もする。
あぁ、またパンばかり食べている。
皿の上にはサラダとソテーしたサーモンがほんの少し。
この所の偏食具合も凄まじい。
ましろの体に何かよくないことが起きてるんではなかろうか?
バーンっと大きな音を立てて大広間の扉が開いた。
何ごとかと杖を持ち、入ってきた人間を見て驚いた。
マグルの格好をした子ども。
ホグワーツの生徒ではない彼に見覚えがある。
彼は回りを気にせず、こちらに近づいてきた。
「セブ、私が呼んだの。ちょっと行って来るわ」
ましろが嬉しそうな顔で立ち、彼に近づいた。
「ヘルメス!!来てくれてありがとう!!急に呼び出して、ごめんなさい」
「ましろ!久しぶり!相変わらず、きれいだね」
二人はみんなの前でハグして、ダンブルドアの所へ行った。
一体何の事だ?
何が起きるのだ?
隠し事はこれか?
大広間中がシーンとしている。
「おぉ、ヘルメス、来てくださったのか。ましろが、どうしても気になる事があると言うんでご足労掛けましたのう」
ダンブルドアが頭下げた。
「ん?いいよ。そろそろ様子見にきたかったし。で、頼まれてた物だけど、これだと思う」
ヘルメスはダンブルドアに羊皮紙を手渡した。
「おぉ!これは………ありがとうございます」
大広間中がどよめく。
さもあらん。
ダンブルドアが小さな男の子にお礼を言って、頭下げてるのだから。
「いいってば。それより、ましろ。こんな簡単な事、お願いにもお祝いにもならないからね」
ヘルメスはダンブルドアをスルーして、ましろを見る。
「えぇ〜結構難しいよ。少なくとも私達にはムリだったから。ありがとう、ヘルメス」
ましろがヘルメスの頬にキスするのを見て、慌てて駆け寄りましろを引き寄せた。
彼らは油断も隙もないからな。
それよりさっきヘルメスが言った事………。
「ヘルメス?お祝いとは?」
何の事だ?
知らないうちにましろが何かやったのか?
「あれ?知らないの?君がお父さんになるって話だよ」
「やっ!ちょっと、まだ内緒だったのよ!!何で言っちゃうかなぁ!」
ましろが慌ててヘルメスの口を押えた。
なに?
私が………父親に?
「それは、つまり、ましろのお腹に………本当か?」
まさかこんな事でからかいはしまいが、確認の為ましろの顔を覗き込んだ。
「あ〜そうなの。つまり、そういう事。アルテミスがこの前来てね………」
全部は聞かなかった。
ましろを抱きしめる。
「でかしたっ!!」
思わず大きな声が出てしまった。
だが他に、この喜びをどうやって表現したらいいのか分からない。
「あのね、本当は今夜話そうと思ってたの。内緒にしててごめんね。偏食は悪阻だったみたい。吐かないなんて私らしいよね。心配かけてごめんなさい。でね…「もういい。わかった。ありがとう、ましろ」……」
抱きしめられたまま、ましろは焦ったように色々話そうとした。
が、そんな事はどうでもいい。
いま、私のこの腕の中に愛しい者が二人もいるのだ。
「ありがとう、ましろ。私は幸せ者だ」
他の誰にも聞かれないよう、ましろの耳元で囁いた。
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