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□対策
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◇ カリス ◇
その事に一番初めに気付いたのは、ハーマイオニー。
「ねぇ、最近、ムーディーを良く見かけると思わない?」
私だけでなく、ハリーもロンも首をひねっている。
「そうかなぁ、全く気付かなかったけど」
「うん、どちらかと言うと、シリウスおじさんが良く話し掛けてくるよ」
ハリーの言う事は、頷ける。
おはようの挨拶から始まって、授業が終わるたびに現れて、何かしらハリーに声を掛けて行く。
ハーマイオニーはじれったそうに、それとは別に、よ!と言った。
「シリウスの事なんか、とっくに気付いてるわ。ムーディーよ。絶対、おかしい。何かあったのかしら?」
その問いにも答えられるわけなくて、ハーマイオニーに、気を付けて見てみる、と約束した。
それから時々、周りを見るようになった。
と、ムーディー先生がいる、だけじゃない。
リーマスもいた。
よくよく気をつけていると、ハーマイオニーと二人の時は誰も見かけない事に気付く。
数占いの授業に移動中、先生達を見なかった事を確認して、ベクトル先生が教室に来る前に話す。
「ねぇ、ハーマイオニー。先生達、ハリーとロンを見てるんじゃないかな」
「カリスもそう思う?私、ハリーを見てるんだと思うわ」
ハーマイオニーはそう言った後、声をひそめた。
「もしかしたら、ハリーが狙われているのかも」
どういう事?
訊こうとしたところで、ベクトル先生がドアを開けて入ってきた。
“ハリーが狙われている”
ハーマイオニーはそう言ったけど、大して変ったこともなく毎日が過ぎていく。
たまにボーバトンや、ダームストラングの生徒と話したがっているホグワーツ生に声を掛けられる以外、授業と、図書館で課題をやるので手一杯。
談話室や大広間では、ディゴリー応援の為のバッジ“セドリック・ディゴリーを応援しよう”が赤い蛍光色でピカピカ光っていて、気が散る、とハーマイオニーが力説したから。
でも、図書館にはクラムがいつもいて、その追っかけの女の子がうるさくて、逆にハーマイオニーの気を散らせていた。
「あの人、ハンサムでも何でもないじゃない!みんなが夢中なのは、あの人が有名だからよ!ウォンキー・フェイントとかなんとか「は?!ウロンスキー・フェイントだぜ。クディッチ用語を正しく言えないなんて!」……ちょっと間違えただけでしょう?」
ハーマイオニーの言葉に、ロンが信じられない!といった表情で口をはさんだ。
「ハーマイオニー、そんなに気になるなら、クラムに言って来たらいいんじゃない?“通訳”なんだから」
「ええ、ハリー、そうね。でも勉強する人に罪はないわ。あの追っかけがどうにかならないかしら」
あんなにブルガリア語を練習してたのに、ハーマイオニーは自分から直接話そうとしない。
私と違って、物怖じしないはずなのに、ヘンなの。
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