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□ドラゴン
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その日はいつもより早めにベッドに入って寝た振りをし、12時前に談話室に行った。


さすがにもう誰もいなくて、ソファに座って、ハーマイオニーやハリー達を待つ。



「カリス、お待たせ」



ハーマイオニーが後ろから声を掛けてきた。


ううん、と振り返るが、誰もいない。



「あれ?気のせいかな?」


「気のせいじゃないよ」



今度は私のすぐ近くでハリーの声。


でも、誰もいない!!



「カリス、口を閉じて、叫んだりしないでね」



ハーマイオニーの声が耳元で聞こえ、手を口にあてて頷いた。


心臓がバクバクする。



「こんばんは、カリス」



いきなり目の前にハーマイオニーの顔。



「!!!!!!!!!」



声を出さない代わりに体がのけぞり、ソファごと後ろに倒れそうになるのを、三人が押えてくれた。



「ごめん。そんなに驚くなんて、思わなかった………」



ロンが済まなそうな顔をして謝ってくる。



「カリス、強い味方って、これの事なんだ」



私が落ち着いた頃にハリーが見せてくれたのは、マント。



「これ『透明マント』って言うんだ。中に入ってれば、誰にも見つからないんだよ」


「カリスも入って。急いでいかなきゃ、時間になっちゃうわ」



慌てて立ち上がり、四人でマントを被る。


くっ付いていなければならないので、ちょっと歩きにくいし、恥ずかしい。


太った夫人の不思議がる声を聞きながら寮を抜け出し、ハグリッド先生の小屋を目指す。


ハリーがドアをノックすると先生が顔を出した。



「ハリー、お前さんか?」


「うん。ロンとハーマイオニー、カリスも一緒だよ」



小屋の中へ入る。


マントから出て、新鮮な空気を吸った。


初めて入る先生の部屋は、なんだか雑然としていて、全てが少し大きかった。


珍しくてきょろきょろしていると、先生がまたマントを被るように言った。



「黙って一緒に来いや」



先生はなんだかウキウキしているように見える。


私達は小屋を出て、先生の後を着いていく。


先生はボーバトンの馬車に近づき、出てきたマダム・マクシームと一緒に、どこかへ歩いていく。



「ハグリッドは、マダムを見せようと思ったのか?」



ロンが呆れた様に呟いた。



「そんなわけないでしょ?きっと何かあるのよ」



ハーマイオニーがたしなめる様な声を出したのが聞こえたのか、ハグリッドが後ろを向いてしっ!と言った。



「アグリッド、どーうかしーましたか?」


「いや、なんでもねぇ。猫かなんかがいたようだ」



マダムの手を取り、先生はご機嫌みたい。


小走りで着いて行くので、そろそろ息が切れてきた。


もうだめ、と口に出そうとした時、たくさんの人が怒鳴っているのが聞こえた。


そして耳が痛くなるほどの大咆哮。


先生とマダムが木立を回りこみ、立ち止まった。




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