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□ボディーガード
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ハーマイオニーは『数占い』の授業に出た後、夕食も取らずに、どこかへ行ってしまった。
ハリー、ロンと夕食をとり、二人とも別れて寮へ戻る。
シリウスが後ろから付いて来る足音が聞こえる。
私が一人の時は一緒に歩いてくれても良さそうなものなのに。
ぼーっと動く階段を待っていると背中に何か当り、はずみで私は何もない所へ踏み出した。
「ひゃっ!!」
!!!!落ちるっ!!!!
叫ぼうとしても、声が出ない。
恐くて目を閉じる。
三階くらいから落ちたから今度こそ死ぬな、と、ヘンに冷静な頭で考えていた。
急に落ちるスピードが遅くなった気がする。
ふわっと、誰かに抱きとめられた。
「良かった。カリス、痛いところはないかい?」
そろそろと目を開けると、リーマスがいた。
「このまま医務室に行くからね。ましろに診てもらったほうが良い」
私の返事を待たずリーマスは歩き出した。
今度は恥ずかしくて目を閉じる。
この前のお礼を言ってないことに気付いたのは、医務室に運ばれて、ましろの診察を受けてる時だった。
「怪我はないみたい。声は?……出るわね」
リーマスの手前もあるんだろう、声の確認をしてから、ましろは真剣な表情をした。
「カリス、あなた何で落ちたの?」
「階段が来るのを待ってたら、何かが背中に当って、弾みで前に出ちゃったんです」
あぁ、どうしよう。
今頃震えてきた。
「ましろ、私、誰かの熱狂的なファンの子に狙われてるんですか?」
ましろはちょっと困ったような顔をした。
「それが分からないのよ。今、シリウスがあなたが落ちたところを調べに行ってる。絵の中の住人が何か見てるといいんだけど」
ましろは杖を出して私に風を送ってくれた。
震えが止まり少し落ち着く。
「ダメだ。離れたところから魔法をぶつけたらしい」
シリウスが医務室に入るなりそう言った。
「カリスすまない。ハリー達と出て行ったから一緒だと思ったんだ。本当に悪かった」
シリウスは本当に済まなそうだった。
「いえ、怪我もなかったし、大丈夫です」
「大丈夫なんかじゃないわ。シリウス、これからはもっと気を引き締めて頂戴!リーマスがいなかったらって思うと、ぞっとするわ」
ましろがシリウスを叱っている。
なんだか、シリウスに対しては厳しい。
「ましろ、そのくらいにしてあげて。カリスもびっくりしてるよ」
リーマスが取り成して、何とかましろも治まった。
「あの、何でそんなにましろは強いんですか?」
年上の人に上から目線で叱り飛ばすなんて、出来ないよ?
ましろはリーマス、シリウスと目を見合わせた。
三人とも苦笑い。
「私、この二人に負けたことないから、ついね」
「ましろは私達のお姉さんみたいなものなんだよ」
「ついでに、リーマスの初恋の人でもある」
最後のシリウスの言葉に、あの頃は若かったなぁって、リーマス。
ちょっとだけ、心臓が跳ねる。
でも、今ましろはスネイプ先生の奥さん。
「じゃぁ、リーマスはましろに振られたの?」
「あ〜、今のはちょっと傷付いたなぁ。間違ってないけどね」
「あ、ごめんなさい」
「ましろは最初っからスニ「シリウス!!その呼び方はダメ!!」……スネイプ一途だったしな」
「ましろって、小さい頃から先生の事が好きだったんですか?」
「というか、出会ったときから好きなのよねぇ」
「それって、一目ぼれってヤツですか?」
「あら?私達の事が聞きたい?」
頷く私に、げ〜って顔のリーマスとシリウス。
ましろはニコニコ笑って、内緒って言った。
えぇ〜期待したのにぃ!!
不満を顔に出したのに、ましろはますますニコニコしだした。
「カリス、こういうのは自分の胸に収めとくのが一番なのよ。聞いて良いのは私達の子どもだけ」
そう言って、お腹に手を当てた。
「だってね、話し始めたら、何日もかかっちゃうもの」
長い長い物語なのよ、ってましろはお腹に向かって話した。
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