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□フランス語講座
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そして夕食後、談話室には男の人が溢れていた。
ほとんどが上級生。
「これ、どういう事ですか?」
朝の上級生を見つけて声を掛ける。
「あぁ、こいつらもボーバトンの子を誘いたいんだって。で、ここじゃ狭いから空き教室に移動していいか?」
「えっと、こんなに大勢、私一人では教えられません。テキストもないし」
それに、こんなに大勢の男の人は恐い。
「そうか、そうだよな。ローダンスの意見はもっともだ」
その人は男の人たちに声をかけた。
「こんなに大勢はムリだそうだ。何人かずつ教えてもらおう」
私を向いて5人くらい大丈夫か?って聞いた。
頷くと、その人が今日はこの5人って話をつけてくれる。
8グループくらいになったみたい。
「ローダンス、今日からしばらく、頼むな」
その人は笑って、ライアン・レクティング、6年生だって、やっと自己紹介をしてくれた。
次の日は、土曜日。
日曜日も合わせてずっとフランス語教室を開いた。
それぞれの人にその人が考えた言葉を訳して教え、自己紹介出来るようになったら教室を抜けていく人が多かった。
一番熱心だったのはライアンで、週が開けても夕食後の談話室に待っていた。
《ライアン、そろそろ誘わないと、ボンバートンの子達、空きがなくなっちゃうよ》
クリスマスは、もう2週間後に迫っている。
《あ〜うん、もう少し、じ、自信がーついたら》
もう十分だと思うんだけどな。
ライアンはフランス語を習う代わりに、と私の課題を見てくれるようになっていた。
私に解毒剤の模擬テストをフランス語で(なんとか)出す事も出来る。
《どのくらいまで話せるようになりたいの》
《そうだなぁ……カリスの………チェックが入れなーなくなるくらいまで》
《入らなく、ね》
ライアンは、あぁ、って顔をして《入らなく》って、何回も繰り返す。
と、後ろから、ボンッという爆発音が。
後ろを見ると、ロンが作っていたカードの城が爆発した所だった。
《びっくりした!「爆発スナップ」のカードを使ったんだわ》
ロンの眉毛が焦げたのがおかしくて、ちょっと笑いながらライアンの方を見ると、すぐ目の前にライアンの顔!!
「うわぁ!!」
あんまりびっくりしたので、椅子ごと後ろに飛び上がりバランスを崩した。
頭打つ!!と衝撃を覚悟したが、何も起きない。
「カリス、大丈夫か?」
ライアンが杖で私を止めてくれたみたい。
そのまま杖で椅子ごと私を元に戻してくれた。
「ありがとう、ライアン。頭打たなくてすんだわ」
まさかライアンの顔にびっくりした、とは言えない。
ライアンは、いいんだ、って苦笑して、テーブルの上の課題を片付け始めた。
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