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□クリスマスパーティー(2)
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★ セブルス ★
カルカロフは、どうしていいか分からないようだった。
バラ園に行くと、まず最初に私の腕から焼印が消えたかどうか確かめた。
「我輩は何も騒ぐ必要はないと思うのだが、イゴール。我輩のが残っている訳がないだろう?」
「あぁ、それはそうだ。ルシウスもそう言っていた。だが、もし、もしもだ。戻る事などあったなら………」
はぁ、こいつは昔から臆病ものだった。
復活などあり得ない、と言ってやりたいが、それではましろの事を最初から説明する必要が出てくる。
「その時は、逃げろ」
一時はこいつが羊皮紙にポッターの事を書いたのかとも考えたが、そんな事をする理由がなかった。
『ヴォルデモート』が復活する事を恐れ、アズカバンの『死喰い人』からの復讐を恐れている臆病者のこいつが“復讐”など出来る訳がない。
犯人の動機………ダンブルドアを始め私達の意見は“ポッターへの復讐”で一致していた。
『ヴォルデモート』に心酔していた何人かは未だアズカバンに入る事なく“普通の生活”をしている。
今彼らが何処にいるのかポッター(父)が必死になって探している。
「逃げろ。しかし、我輩はホグワーツに残る」
あぁ、こんな馬鹿げた話は早く終わらせて、大広間に戻らなければ。
隣で何か言いたげなカルカロフにイラつき、バラの茂みを杖で吹き飛ばす。
全く“不純異性交遊”はもっと分からない所でやれ!
悲鳴を上げて飛び出て来た生徒に減点を言い渡し、出くわしたポッターとウィーズリーを減点し損ね、ポッターの警護をやっているはずの二人組が一人な事にイライラが募る。
まさか?
もしや?
考えは悪い方にしかいかない。
カルカロフを置いて、大広間へ急いで戻る。
………全く、油断も隙もない。
ホールの端で踊っている二人に近づく。
「……ルーピン、ましろの相手、御苦労。ポッターが外にいたぞ。さっさと後を追ったらどうだ?」
「おや、早かったね。ハリーならシリウスがいたでしょ?」
ましろを気遣ってか、ゆっくりと体を動かしていたルーピンは、私の声に動きを止めたものの手を繋いだままだった。
じっとその手を見る。
「あぁ、分かったよ。じゃぁね、ましろ」
「ありがとう、リーマス。楽しかったわ」
ルーピンはましろの手にキスをして、大広間を出ていった。
「セブ?お話終わったの?」
私の気持ちなど知らず、ましろは手を繋いでくる。
「リーマスとは、ちょっとしか踊ってないわ」
時間の長短は関係ない。
ルーピンのキスを受けた手を持ち上げ、消毒する。
クスッと笑って、私のパートナーはセブだけだから、と体を寄せてくるましろとゆったりとダンスをした。
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