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□ホグズミード
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◇ カリス ◇
城へ帰って、ライアンと一緒にましろの部屋を訪ねる。
「はい、どうぞ」
ドアを開けると、ソファにましろとスネイプ先生が座っていた。
「あら、いらっしゃい。ホグズミードは楽しかった?」
立ち上がろうとするましろを制して、先生がキッチンに立つ。
「あの、すぐにお暇しますから」
「あら、セブルスの紅茶、美味しいのよ。さ、座って」
ライアンがヘンな顔してる。
きっとどうしていいか分からないんだろう。
それは私も一緒だったけど、とりあえず、ましろの向かいに座る。
ライアンが隣に座った。
テーブルに紅茶を置いて、先生は無言で部屋を出て行ってしまった。
「なんだか追い出しちゃったみたいで………すみません」
「いいのよ。さ、どうぞ」
ましろは先生が淹れ替えてくれた紅茶を口にして、幸せそうな顔になる。
「はぁ、美味しい。自分じゃどうしてもこうはならないのよねぇ。面倒だからココアにするってくせ、直さなきゃ」
そういえば、ましろはいつもココア淹れてくれた。
あれ、面倒だったんだ。
いつも完璧なましろを見てたから、意外なとこ発見した感じ。
ちょっとだけ嬉しくなったのは、身近に感じたから。
「ましろのココア、美味しいですよ?」
「あら、ありがとう。嬉しい事言ってくれるのね」
ライアンが恐る恐る紅茶に口をつける。
「ましろ、砂糖入れていい?」
「もちろんよ、ライアン」
杖を振ってシュガーポットを出してくれる。
「で?どうかしたの?」
何かあった?ってましろの問いかけに、バッグの中から紙袋を出す。
「あの、いつもお世話になってるから………お土産です」
差し出した紙袋を嬉しそうに受け取るましろ。
「ありがとう!!『ハニーデュークス』ね?中を見ても?………まぁ、ふっくらチョコレート!!大好きなの!!こんなにたくさん、もらってもいいの?」
ましろは頷く私ににっこり笑って杖を振り、お皿を出した。
お皿にチョコレートを出して、一つ頬張る。
「うん、クリームたっぷり!お持たせで悪いけど、あなた達も食べて。みんなで食べたらもっと美味しいわ」
ライアンと目で相談して、チョコに手を伸ばす。
イチゴムース入りのチョコは甘くて、大きくて、幸せな気分にさせてくれる。
「ライアン、今日はカリスを何処にエスコートしたの?あそこ行った?え〜っと……マダム・パディフットのお店」
ライアンがぐっとチョコを喉に詰まらせた。
「ちょっ、ごめんなさい!ライアン大丈夫?」
ましろが慌てて立とうとするのを「大丈夫!!」と止めて、紅茶を飲む。
私は背中を撫でてあげる。
「ありがと、カリス。………ましろ、あんなとこカリス連れてけないよ」
「何で?あそこは初デートのカップルが必ず行くとこだってステラが言ってたわ。一度も行った事がないから、憧れなのよねぇ」
「う〜〜ん………間違ってはないけど、あそこは恥ずかしいよ」
顔を赤らめるライアンに顔を向ける。
どういう所?
「あ〜〜カリス、あそこは何と言うか、フリフリなんだ。ピンクでフリルでリボンで………店の前通るだけで恥ずかしい」
「ライアンは入った事あるの?」
「ない!自慢じゃないが、女の子とホグズミードデートなんて、君が初めてだった」
うわっ!
なんかこれってどう返事していいか分からない!
顔が赤くなるのが分かって、慌ててうつむいた。
髪が顔を隠してくれますように!
ふふっとましろの笑い声が聞こえる。
「ライアン、そのくらいにしてあげて。カリスはまだ色んな事を知らないの。少し、待ってあげてね」
「分かってる。こう見えても我慢強いし、待つ事も得意なんだ」
ライアンを横目で見る。
大きく頷くライアンに、ありがとうってましろはお礼を言って、そんな二人に私はどうしていいか分からなかった。
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